cherryblossom 第３章 (ページ10)

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私のピンチページ10

「ちょ、ちょっと！」

「なんで？帰るんでしょ？」

私の手を掴んで、引きずるように外に出た男。

「離してください」

振りほどこうとするけれど、振りほどけない。

「眉間に皺寄せちゃって。かわいい。
帰るんでしょ？俺も帰るから一緒に帰ろう」

グッと、私の体を自分の方へと引き寄せる。
同時にお酒のにおいがした。

「酔っているでしょ」

「うん。酔っている。だから一緒に帰ろう。
Aちゃんの家に」

耳元でそういうと私から顔だけ離してニヤリと笑う。

き、気持ち悪い。

「私、彼氏いるんで」

「うん。知っている。初めに聞いた。
大丈夫。俺、そういうの気にしないから」

……ダメだ。最低。

「気にしてください。それか、気にしない人にしてください。
迷惑です」

「え～。俺、Aちゃんのこと気に入ったから無理～」

男の顔がだんだんと近づいてくる。

マズイ……。

後ずさりするけど、

痛……。

ヒールが何かに引っ掛かって、足をくじいてしまった。
さらに近づいてくる男の顔。

この酔っ払い！！

と思ったと同時に、

「A？」

誰かが私を呼んだ。