cherryblossom 第３章 (ページ35)

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恋愛事情ページ35

「最近そのネックレスよく触ってる」

ミウさんにそう言われて、
自分の左手がネックレスへと伸びていることに気付く。

「旅行以来彼氏と会ってないんでしょ？寂しくないの？」

会いたくないわけでもない。
傍にいて欲しくないわけでもない。

でも、会えなくても、触れることができなくても、
日々に充実感を感じていた。

「彼のおかげで大丈夫です」

「あはは。充実した恋愛しているのね。
いいな～」

カフェのソファーに沈み込むように背をもたれかけさせながら
天井を見上げるミウさん。

「……彼氏とうまく行ってないんですか？」

おこがましくて、私からミウさんの恋愛事情は聞いたことがなかったけど、
思わず口にしてしまった言葉。

「うまく行っているのか、行ってないのかもわからない」

視線はそのままで、あっさりと私の言葉に返事をした。

「ただね。違うなって思う瞬間があるの」

彼氏がいるのに、積極的に合コンに参加しているミウさん。
私にはその気持ちがわからない。
でもその“違うなって思う瞬間”がそうさせているのかもしれない。

「な～んて言ってみたりして。
そろそろ戻らないと、何時に仕事終わるかわからないからね～。
ほらほら行こ」

しんみりとした空気を打ち消すかのように立ち上がり、
私に仕事場に戻るよう促すミウさん。

ミウさんの恋愛事情が気になったけど、
もう聞くような雰囲気ではなくなっていた。