鈍感な理由。 ページ6
宿福へ戻り、響木さんのせいで鋭い視線を修也から浴びていれば、
逃げ出すようにタイヤ回収〜と、海へと走り去る円堂の後ろ姿を恨めしそうに見詰めた。
「A」
「にっ…！」
思わず、悲鳴が上がった口を覆って。気付いてジャージを脱ごうと、チャックへ手をかける。
チャックを下ろしている間も、刺さるような視線にほんの少し。見上げて修也の顔を伺えば不機嫌丸出し。
キャラバンの前で仁王立ちの修也と、項垂れる私を、皆が遠巻きに見ていた。誰か助けて〜！
「お前は…どうしてそう、鈍いんだ」
「どうしてって、言われても…」
袖口を合わせながら、指先を弄って居心地の悪さに肩を落とす。
どうして、なんて私が聞きたいくらいだ。
何で怒られているのか、わかるけど怒られたってしょうがないじゃないか。
きっ！と睨みつけて頬をいっぱいに膨らませた。
反抗してやらあ！私だって！やる時はやるんだからな！
「しっ……修也のばかあ！」
「な、バカ？」
胸板をとすとすと両手で代わる代わる叩いて。
私だっていっぱいいっぱいなのに。帰るなり責められて、私の気持ちはガン無視ですか。このやろう。
「鈍くてごめんなさいね！いつだって私が悪いもん！修也みたいに頭よくないし、容量悪いもん！でも…っ、そんなに怒んなくていいじゃんか！」
腕を支えて、叩かれるままの修也に何だか悔しい。
睨みつければ困ったように眉を下げている修也、そんな、顔するなら最初からこんな話しなければいいのに。
「怒ってない…し、そこまで言ってない」
「思ってるはいるの？！最低！」
「ちがっ…少し落ち着け」
慌てだした修也に、真っ白いTシャツの襟に掴みかかった。
爪先に力を込め背伸びをして、少しだけ凭れかかれば
と…っと、キャラバンに背中を付けた修也。
縮めた距離と、心の距離を埋めるようにゆっくりと目を閉じる。
ちょっとだけ乾燥した修也の唇は久しぶりで。
押し付けた感情を受け止めるように、支えるように添えられた手。
ゆっくりと顔を離せば、ちょっとだけ伏せた瞳の修也の頬が赤く染まっていくのがわかった。
「私が大好きなのは修也だもん、他の人なんて見えないもん、わかる訳ないじゃんか、」
「…悪かった」
.
仲直りして、玄関へ向かえば丁度、ヒロトが楽しそうに円堂くんの所へ行こうと笑った。
海へとタイヤ回収へ行った円堂を見つけ、木や草の影に隠れ。
「円堂を胴上げだ！」
染岡くんのその言葉を合図に皆で円堂を高く空へ上げた。
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守羽(プロフ) - 豪炎寺さとみさん» コメントありがとうございます！もう少しだけお付き合い頂けたら嬉しいです…！ (2022年10月10日 16時) (
レス) @page44 id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺さとみ - 終わっちゃうんですか (2022年10月10日 13時) (レス) id: 507e2dc598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2022年10月2日 22時
