落ちる花。 ページ33
残り少ない線香花火を手に取れば、やっぱり人数分には満たなくて。
線香花火を手に持った修也の隣に座り込んだ。
円堂の隣に、ちょっと控えめに夏未ちゃんが座るのを秋と一緒に微笑みあった。
染岡くん、半田くん、松野くんで1つの線香花火を囲んで。
風丸くんがそっと最後の線香花火を、秋へ渡して2人で座る横で、鬼道さんが線香花火を持てば、ぼうっと影野くんが見つめてた。
いや、仲良いんだ君達。
皆でちょっと大きめの輪になって。
線香花火を見詰める。
なんで線香花火が最後になるのか分かんなかったけど、確かに。
とても切ない。
右手に花火を持った修也の肩に体を預ければ、ちらりとだけ視線を感じた。
「ずっと、このまま何てダメなのかな」
「だめだろうな」
「そこは嘘でも同調して」
腕をつねれば、くすくすと秋の笑い声。
顔を見上げれば円堂を見詰める夏未ちゃんが目に入った。花火みないんかい、
とん、と修也の重みを感じては。
ぱちぱちと弾ける線香花火を、じっと。
見詰めた。
「あ、終わった…」
「染岡持つの下手じゃない？」
「うるせえ、そういうマックスはどうなんだよ」
賑やかな声が聞こえれば、秋と風丸くんが笑いだし、ぽとんと花が落ちた。
「あ」
「ふふ、振動が伝わっちゃったかな？」
「かもな」
そんな2人をみて見ていれば、円堂の大きな声。
こちらも落ちてしまったみたい。
修也の手元を見れば、まだ弾ける花火。
皆がじっと、最後の線香花火をみつめる時間が
ゆっくり
ゆっくり
過ぎた。
夏休みが終わる。
雷門で過ごす、最後の夏が。
何か、やり残した感じが抜けないまま。
私達は背中を向けて、それぞれの将来へと歩み始めるんだ。
一抹の不満を抱え
ぼんやりとした将来の夢
まだ描くことが出来ない未来。
隣に寄り添う修也と、いつか未来が別れる。
高校が離れてしまう。
その時、私は1人でも頑張っていけるかな。
「同じ高校…行きたかったな」
「…そういえば、まだ聞いてなかったな」
ふと、顔を上げた修也に。
小さく頷いて、でも聞きたくないと声を振り絞った。
今、聞いたら。
ガムシャラに走ることが出来なくなりそうで。
離れる現実を突きつけないでほしい。
ただ、今は。
皆で過ごすこの瞬間を、忘れないように。
そっと、目を閉じた。
🐾
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守羽(プロフ) - 豪炎寺さとみさん» コメントありがとうございます！もう少しだけお付き合い頂けたら嬉しいです…！ (2022年10月10日 16時) (
レス) @page44 id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺さとみ - 終わっちゃうんですか (2022年10月10日 13時) (レス) id: 507e2dc598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2022年10月2日 22時
