忘れない一瞬。 ページ32
合宿所の前までくれば、用意されてあるのは…バケツ？
「あ、響木さん！」
「おう、元気そうだな」
響木さんも元気そうで、と挨拶していればバケツの横に乱雑に置かれた袋達。
覗き込めば…、
「花火…？」
「そう！思い出してみればさあ、夏らしいこと何にもしてないよなってなって」
「言われてみれば。何だかんだ色んなことあってイベント毎、意識してなかったな」
座り込んで花火を見詰めれば、隣に座った秋が笑いながら花火を手に取った。
「Aはバレンタインも忘れてたもんね」
「忘れてたんじゃなくて、知らなかったんだって」
世の中の2月はチョコレートをあげる風習があるなんて、誰も教えてくれなかったもん。
お姉ちゃんだって…あ、いや。お姉ちゃんはホットココアでよかったんだ。
まさか、あれがチョコレートとは思わないじゃん。
「来年は皆バラバラだろ？だからさ、このメンバーで何か思い出作りたいって思って」
楽しそうに笑った円堂を見て、風丸くんが少し眉を下げて笑った。
そうか、皆ばらばらなんだ。
雷門イレブンでいられる時間は、残り少ないんだ。
「ということで、花火だ」
「許可はとってあるわ。それに、響木さんも立ち会ってもらったわ」
計画的な犯行らしく、勝ち誇ったように笑った鬼道さんと夏未ちゃん。
「よーし！やるぞお！」
円堂の声に、袋を開けて皆で花火へ火を灯していく。
楽しそうなみんなの声に、色とりどりな光。
鼻につく火薬の匂いに、燃える花火の音。
「それ！」「きゃあ！」
「どうだ！二刀流！」「うわっあぶねえなあ！！」
「それ引火しない？」「防火性だ」
皆を見つめていれば、隣で口元が緩んでる修也が居た。
「火、ちょーだい」
「ん？ああ、」
修也から火を貰えば、音と共に焔の花を咲かせる。
この瞬間が永遠ならいいのに。
優しく光る花火を見つめては、修也の肩に軽くぶつかる。気にもしない修也に、肩を竦めて。
目の前には、両手に花火を持って走る円堂と半田くん。
「スパーク！！」「いやだからあぶねえって！」
勢いよく火花を散らしながら走る円堂を、本気で怒り始めた染岡くんが止める。
ちらり、と離れた方を見れば秋と夏未ちゃんがお淑やかにすすき花火を手に持っていた。
半田くんも、松野くんも。
何故か、鬼道さんと影野くんが座り込んで線香花火に夢中な様子を、修也と笑った。
「お、最後は線香花火か！いや、少ないな…」
「すまん、俺達だ」
やりすぎたらしい鬼道さん達だった。
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守羽(プロフ) - 豪炎寺さとみさん» コメントありがとうございます！もう少しだけお付き合い頂けたら嬉しいです…！ (2022年10月10日 16時) (
レス) @page44 id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺さとみ - 終わっちゃうんですか (2022年10月10日 13時) (レス) id: 507e2dc598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2022年10月2日 22時
