ただ、会っただけ。 ページ20
神社へ着けば、赤い鳥居の下。
青い髪の風丸くんを目印に、染岡くんと円堂、秋が居た。
「あんま、集まらなかったな」
風丸くんがそう笑えば、お互いの顔を見合って、笑うしか無かった。
忙しい中、用事を抜けて会いに来てくれた秋と、手を繋いで新年の挨拶をして。
もこもこな帽子を被った染岡くんの頭を凝視していれば、ちょっと怒られて。
長い髪を上手くマフラーの中にしまって、ちょっといつもとは違う風丸くんの姿。
円堂はいつも通りでなんか、安心。
「お賽銭まで行くか？」
風丸の言葉に、きょとんとして、長蛇の列を眺めた。
秋と円堂は元旦に行ったらしくて、大丈夫。とだけ…
風丸くんと染岡くんは…。
「俺達も済んでるんだ」
「なんで誘ったの？」
私1人だけじゃん。行ってないの。むすっとして、いれば、円堂がそんなの決まってるだろ、と言いたげに笑った。
「最近、皆会えないからな。今日は会えてよかった！」
「円堂…」「円堂くん…」
へへっと。歯を見せて笑う円堂へ、ちょっと肩を落とした風丸くんは、
「いや、このあと…俺は円堂の課題の手伝いだ」
「円堂…」
感度を返してくれ。
幼馴染だというので、ほんとに仲のいい2人の姿を見ていれば何だか、晴矢に会いたくなるくらい。
あ、新年の挨拶くらいしていいかな？
「いけない、私遅くなる前に帰るって伝えてあるの。もう行くね」
秋が時計を確認して、慌てはじめれば染岡くんが寒そうに震え上がった。
いや、北海道行った時の元気さはどこへ。
「俺らも帰るか」
「何もしてないけどね」
「ただ会っただけだな」
ちょっと嬉しそうな円堂の脇へ肘を入れても、何にも気にしない円堂。
ま、私も久しぶりに顔が見れてよかった。
「途中まで送るよ、秋」
「ありがとう」
風丸くんと円堂が、秋と一緒に帰り始めて。
不意に、染岡くんと目が合って。思い出したような顔をされた、
「おう、送った方がいいか」
「反対方向だからいーよ、それにまだ明るいからね。染岡くんも気を付けて帰ってね」
「おう、Aもな」
軽く、手を振りあってまた学校で、と走り去る染岡くんの後ろ姿。
空を見上げて、息を吐けば。
真っ白くなった息が、空へ溶けて消える。
「私も帰ろう」
ここで待っていたって誰も来ない。
裏手から神社を抜けてゆっくり、と言うには重い足取りでお家へ向かう。
また来年、こうやってただ会うだけ。そんな形でも皆と時間を共に出来るのかな、なんて1人で不安になって。
空を見上げた。
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守羽(プロフ) - 豪炎寺さとみさん» コメントありがとうございます！もう少しだけお付き合い頂けたら嬉しいです…！ (2022年10月10日 16時) (
レス) @page44 id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺さとみ - 終わっちゃうんですか (2022年10月10日 13時) (レス) id: 507e2dc598 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2022年10月2日 22時
