自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep8 (ページ9)

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影山零治。ページ9

前半戦、無敵の槍からの何とかナスさんの技で先制点を許してしまったまま。

戻ってきた皆へ、タオルとドリンクを配っていけば
俯いて考え込んでいるフィディオ。

「フィディオ？」

「くそう！アイツらを攻略する方法！何かねえのかよ」

後ろでジジさんが声をはりあげびっくり。
沈黙の中、影山さんの鼻で笑う声が聞こえ、ジジさんが怒る。

「君達との約束、破ってもいいかな」

「あんたは黙って……フィディオ？」

ジジさんを止めたフィディオに、思わず見詰めた。
聞くだけ聞いてみよう、そう言ったフィディオに影山さんは指示をした。

後半戦、

影山さんの指示通り動いたオルフェウスのDFは綺麗に機能して無駄な動きなんてない、完璧にナイツオブクイーンを捉えた。

これが、影山さんのサッカー？

的確で、先の先まで読んで必要な事だけを指示された非の打ち所のない完璧な指示。

試合終了後、静かに立ち去った影山さんを思わず追いかけた。

「待ってください！」

立ち止まらない影山さんへ追いつこうとすれば、足音が聞こえて振り向けばフィディオが居た。

「ミスターK！貴方にとってサッカーは何ですか」

フィディオの言葉に振り向くことなく、立ち去ってしまった影山さん。
視線を感じて見上げれば、フィディオと目が合った。

「ミケは今日の指示……どう思う」

フィディオも、同じ事を感じたのかもしれない。
少し考えて、フィディオを見詰めた。

「どんな手を使ってでも勝つ人だと思ってた。なのに…あんな綺麗なゲームメイクを出来るなんて思わなくて…」

影山零治という男が、歪んでいく。
夕香ちゃんのこと、修也のこと、雷門の皆へのあの行動。

ううん、そんなこと関係ない。
私は、影山さんの企みを阻止する為に今はここに居るんだ。

「俺は、ミスターKのことをもう少し様子を見るべきだと思う。あの人のサッカーから何か……」

言葉を詰まらせたフィディオに私も何も言えなくなった。

復讐の為のサッカー。

戻ろう、フィディオに手を出されて思わずその手を取って
びっくりして手を、引っ込めた。

「ミケ？」

「あ、ううん！早く行こう！」

フィディオの掌が、大きさも温もりも、
全部違ってびっくりしたんだ。

あれから1度も会えてない、声も聞けていない。
どうしようもなく会いたい。

修也、

.

「イタリア代表のベンチにさ…」

「居たよね」

「居たな」

「居ましたね…」

「A…」

「…A」