自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep8 (ページ37)

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影山さんの背中。ページ37

フィディオの言葉に、影山さんは自分の気持ちと向き合っていく。
同じだったから。

だから、フィディオは影山さんの憎しみのそこにあるサッカーへの本当の思いに気付けたんだ。

フィディオだから。

影山さんが憧れた、影山東吾を超えた。

「流石だな、お前達は本物だ」

「貴方こそ」

影山さんが、フィディオを鬼道さんを本物だと肯定してくれた。
その言葉に鬼道さんも、影山さんを肯定した。

「私もなりたかった。お前達のように」

「貴方ならなれたはずです」

鬼道さんの言葉に答えるように、聞こえたのはパトカーのサイレンの音。
まさか自分で…と声をもらした鬼道さん。

自分で通報してたんですか…影山さん。

「私にとってこれが最後の試合だ。楽しかったよ」

影山さんのその言葉に、鬼道さんはゴーグルを外した。
鬼道さんの目って赤かったんですね…。

「久しぶりだな、お前の素顔を見るのは」

そのゴーグルは、影山さんから鬼道さんへの。

「お前にはもう必要ないか」

「いいえ、これからも使わせてもらいます。これは俺のトレードマークですから」

「ふっ…そうか」

影山さんと、鬼道さんが話終わる頃には、警察の人が駆け寄ってきた。

逮捕状を突きつけられた影山さんは笑った、

まって…！

「待ってください！影山さん！」

駆け出して、影山さんへ手を伸ばせば警察の人に止められた。

「教えてください！あなたは、誰から私を守ろうとしたんですかっ…影山さん！」

伸ばした手は、掴めなくて。

「なんの事だ。もうお前がオルフェウスにいる必要は無い、好きな所へ行くがいい…」

「影山さん！まって……影山さん！！」

その言葉に反応するように、一度だけ止まってくれた。

「私がこの言葉を口にする事などないと思っていたが…」

振り向いて、口角をあげて笑う。

「ありがとう、フィディオ、そして鬼道」

「監督…」

「影山…総帥…」

警察の人に止められたまま、立ち去る影山さんの背中を見つめた。

もう、オルフェウスに居なくていいの？
もう、イナズマジャパンの、修也の元へ帰ってもいいの？

影山さんの背中を見つめたまま、座り込んだ。

手を差し伸べられて、顔を上げればフィディオだった。

「…このまま、オルフェウスのマネージャーで居てくれないか」

「へ…？」

後ろを向けば、不安そうなオルフェウスの皆が私を見詰めていた。

「どうして…？」