自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep8 (ページ31)

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闇は晴れた。ページ31

走り続けるフィディオは、鬼道さんをしっかりとマークしながらその目は影山さんへ向けられた。

「貴方が求めていたサッカーは！貴方の父、影山東吾が中心に来ることで完成するのですから！」

鬼道さんの前へ、フィディオがたち塞がれば、佐久間さんをアンジェロさんが、風丸くんをダンテさんが完璧にマークして
鬼道さんを囲んだ。

これが、カテナチオカウンター。

「一瞬で囲まれただと？！」

流石の鬼道さんも初見は反射できず、動揺を見せた。

アンジェロさんが特訓の成果だと納得し喜ぶ。あの、ぼろぼろになってまでやり続けた特訓の成果…。

これが、影山さんが目指していたサッカー。

「フィディオのあのプレー、あのサッカー…」

鬼道さんへ向かったフィディオは、その切り込む様な綺麗なステップでボールを奪った。

ほんの一瞬で。

それは、昨日2人で見た影山東吾さんのプレーだった…。

「サッカーを愛するものだからこそ、作り上げる事ができた必殺タクティクス！」

これが、カテナチオカウンターだ！

そうボールを蹴りあげた。
そのボールは綺麗にラファエレさんの元へ。

「フリーズショット…！」

得点のホイッスルが響く。

イナズマジャパンに追いついた。

真っ直ぐ、フィディオが影山さんを見詰めた。

私は……影山さんの服を握り、震えた。

痛い程伝わってくる、フィディオの声、言葉。

影山さんを真っ直ぐに見つめて、理解して、憎しみの奥底に眠る
サッカーへの、お父さんへの愛を見付けた。

フィディオだから。

その理解をプレーで示して、

今、影山さんの核心に唯一迫る事ができた。

フィディオの声に、影山さんの打ち震えた心に

胸が締め付けられていく。

影山さんの罪は、償うべきだ。
償って前へ進んで欲しい。

そうして、もう一度…真っ直ぐにサッカーをして欲しい。

復讐という建前を消し去って、憎しみを受け入れて、純粋な気持ちをちゃんと抱き締めて。

心から…自由なサッカーを。

見上げれば、フィディオの言葉に、声に、プレーに。
影山さんも涙を流していた。

フィールドを見れば、皆がフィディオの元へと駆け寄っていた。

フィディオから皆に伝わったんだ。

「見てくれましたか監督」

フィディオや、皆が駆け寄ってきた。
試合中ですよ、

返事をした影山さんに、嬉しそうにフィディオは胸に手を当てた。

「この勢いを活かすべきです。次の指示を！」

1歩下がり、皆を見詰めた。