自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep8 (ページ4)

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全勝目指してファイアトルネード。ページ4

鬼道の言葉に、豪炎寺を見詰めた木野は俯いた。

先に戻るね、と駆け出した木野は不安そうに。

「何があったんだ」

食い入るような豪炎寺の言葉に、円堂も鬼道も分からない、としか言いようがなく俯くことしか出来なかった。

近くのバス停までまで送る、そう言われた帰り道。
ありがとうございました、と円堂を初めに鬼道、佐久間、不動が降りる中

Aだけは降りなかった。

「A？」

不思議そうに見上げた円堂に、Aは着替えないままでいた、イナズマジャパンのジャージを手渡した。

「イタリアエリアでやる事があるの、しばらくは戻れないから…預かってて欲しい」

「しばらくって、どれくらいなんだ」

わからない、と首を横に振りほんの少しだけ腫れた目元を隠すように笑った。

そんなイナズマジャパンを見守るように、フィディオは座席へ座り直した。

「豪炎寺は知ってるのか？ちゃんと、言わなくていいのかよ！」

円堂の言葉に、傷付いたような表情が一瞬みえたが、
直ぐに取り繕い笑い続けた。

「大丈夫」

ふんわりと笑った笑顔に、誰も。
それ以上何も追求出来なくて。

「そばに居れなくても、ずっと応援してる。私もイナズマジャパンの1人として一緒に戦ってるから、」

扉が閉まる中、手を振り続けたAに。
誰も、何も、いえなくて。

「豪炎寺が持ってる方がいいだろ、あいつのジャージ」

円堂から手渡されたAのジャージを受け取り、小さく頷く事しか出来なかった。

影山が現れたイタリアエリア、
そこで、Aがやらないとならないこと。

もうそんなこと、嫌な想像しか浮かばなくて。

ただ、無事である事を祈り続けるしかなく。

真新しいミサンガは、切れる気配など感じさせてもくれず。

夕食を済ませ、部屋にジャージを置いた豪炎寺、
ジャージをかけようと持ち上げれば、1枚の紙が舞い落ちた。

掬いあげてベットへ座る。

可愛らしい、Aが愛用している猫シリーズのメモ帳だ。

裏面を見れば、いつもの文字で記された言葉。

「全勝目指してファイアトルネード…ってお前な。他に書くことあるだろう……」

ぽすん、と布団へ背中から沈み込み天井を見上げる。

何がAの身に起きているのか、
思い出してみれば、泣いてしまうまで何も教えずに、1人で抱え込んで
姿をくらます所は何ら成長はしないようで、

そこがまた歯痒いけれど愛おしくも感じてしまう。

「A……、」