自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep8 (ページ3)

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1敗、そして。ページ3

宿福の前。

夕暮れの中、肩を落としたイナズマジャパンに、キャプテンの円堂が駆け寄り笑顔を向けた。

「みんなー！」

試合に迎えなかった事情を説明すれば、木野が驚きの声を上げた。

おもむろに、豪炎寺が円堂の前へ足を踏み出した。

「すまない円堂…勝てなくて」

豪炎寺を始め、皆が肩を落とす。視線を逸らし、俯き。
そんな皆に円堂は励ますように声をかける。

「みんな…。元気出せよ、決勝トーナメントに行けなくなったとはまだ決まった訳じゃないんだしさ」

「確かに1敗はしたが残りの試合に全勝すれば、可能性は十分残っている」

円堂に続いた鬼道の言葉に、顔を上げて、見合わせて、笑みがこぼれた。

「そうか！全勝すれば……！」

「ああ！それより、凄いじゃないか！あの新必殺技、グランドファイア」

声をかけられた、豪炎寺、ヒロト、虎丸は誇らしげに笑い。
隣へ立ち尽くしていた立向居へ、視線を向けた円堂は笑いかける。

「立向居！」
「っはい、」
「やったな！遂にマオウ·ザ·ハンド完成させたんだな！」
「〜っはい！」

立向居の笑顔を確認した円堂は、1年生達も続けて称えていく。

「それに、栗松と壁山、木暮も、なんてったってあの必殺タクティクスを破ったんだからな！」

その言葉に、照れくさそうに壁山達は冬花さんのお陰だと。
突然話を振られた、冬花も頬を染めて恥ずかしそうに照れた仕草。

「流石はイナズマジャパンのマネージャーだ！」

みんなが、円堂の言葉に顔を上げていく。
今日の敗北を糧に、次へ繋がる勝利への礎として。

「よーし！残りの試合、全勝目指してまた明日練習だ！」

「おー！！」

気合いの入ったメンバーを遠くで見守る監督。

そうして、不意に木野が円堂へ声をかけた。

「円堂くん、Aは？」

その瞬間、円堂の表情が強ばる。
後ろへいた鬼道達へ視線を向ければ…少し頷いて、皆へ夕食を済ませるように声をかけた。

「秋、豪炎寺。向こうで話そう」

佐久間と頷きあい、鬼道と豪炎寺、円堂、木野は先導する円堂へ続いて海へと歩き始めた。

漣の音を耳に聞きながら、

円堂は豪炎寺を真っ直ぐに見つめて、伝えた。

「Aはイタリアエリアに向かったんだ」

「イタリア…？」

眉を顰めた豪炎寺に、鬼道が頷き腕を組んだ。
不穏な空気に、木野も手を握りしめた。

「イタリアエリアでやる事がある、しばらくは帰らないそうだ」

「しばらくって…？」

「…わからない」