自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep8 (ページ16)

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スペアキーとストラップ。ページ16

いつも通りの練習時間。
長期的に留守にする、と影山さんからの伝言をみんなに伝え

このチャンスを逃すまいと、監督室へ堂々と鍵を使って入った。

「整理整頓されてる…と言うよりは、前の監督の引き続きのまま？」

埃の被ったファイルと、沢山折れ目やシワがよった選手名簿。
影山さんなのか、前の監督なのか。

机周りを失礼させてもらい、何か、何か得られるものがないかと
調べて、調べて。

何も見つからなくて。

そうだよね、見付かるわけないよね。

そう思いながら、椅子に座りパソコンを開いた。
当然、ロックだって付いていてパスワードなんてわかりっこない。

……あれ？

不意に、監督に渡されたこの部屋のスペアキーに着いていたストラップをポケットから取り出した。

「もしかして、」

ストラップに掘られていた羅列を入力して、Enterを押す。

「なんで……開くの……」

でも、パソコンにはオルフェウスや対戦チームの基本情報しかなくて。

「こんなの開けたって意味ないのに……！」

こんなものっ

怒りに任せて、鍵を投げつけた。

机にうずくまって、目を瞑る。

明後日はイナズマジャパンとの試合が待ってる。
なのに、それなのに。

なんにも、情報がない。

どこにも、影山さんの企みがわかるような手がかりなんてない。

全ては影山さんの頭の中になるの？
そんな事ありえないはず。

椅子の上で膝を抱え、考える。

緻密な計算の上に様々な計画が遂行されていたなら
必ずデータベースにでもあるはずなんだ。

「そう言えば……帝国にはあったのかな…」

影山さんが計画していたもの。
それがあって、イナズマジャパンへの復讐の為の手立てが何も無いなんて

やっぱり有り得ないんだ。

どこかに、なにか。

今日はもうやめよ、頭を冷やそう。

どっかへ投げつけた鍵を探す。

あった、かなり遠くへ飛ばしたんだな。

「あれ……？」

ストラップ、こんな形してた？

心臓が、嫌な音を立てた。

もしかして、

震える手で、ストラップをスライドさせた。

ひたり、と背中に汗が伝う。

監督室を出て、鍵を閉めた。

行かないと、今すぐに。

「フィディオ！」

「ミケ？どうしたんだ、練習中に話しかけるなんて珍しい」

グランドへ入り、飛んできたボールを軽く受け止めて。
ボールをフィディオに手渡した。

「今すぐイナズマジャパンの所へ行ってくる。夕飯までには戻るよ」

「え？あ、うん…」