自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep8 (ページ15)

今日:20 hit、昨日:4 hit、合計:11,315 hit

甘いもの。ページ15

あれから数日。

「オルフェウスって凄い強いよね」

食堂で、すっかり慣れた皆との夕食でアンジェロさんへ声をかけた。
目の前に座っていたマルコさんが目をぱちくり。

「何を今更」

通り際に、ジャンルカさんがゼリーを置いていく。
食べていいのかな。

隣に座っていたアンジェロさんが、そのゼリーを失礼。と腕を伸ばして

届かない様子。

マルコさんがアンジェロさんにゼリーを渡して、食後のデザートにゼリーを頬張るアンジェロさん。

もう一度、ゼリーを持ってきたジャンルカさん。目を輝かせたアンジェロさんにちょっと冷ややかな目。

「これはミケの」

私のなんだ。

え？なんでさっきマルコさんはアンジェロさんに渡したの？

いや、別にさしてゼリー好きでもないけれど。

「うま〜…！」

余りにも美味しい！
え？ゼリーってこんなに美味しいの？え？うそ…

「美味しいだろ？それ、いつも作りに来てれる人の手作りなんだよ」

「え？プリンも作れたりするかな？」

食器を片付けていたフィディオを見上げれば、

通り際のジジさんやベントさん達が笑っていく。

なんで？

「あ、やっぱりクッキー？」

「ひー！もうだめっ！！ミケって結構甘いもの好きだよね」

アンジェロさんが頬をつつき、可愛らしい天使の笑み。
どゆこと？小首を傾げれば、ジジさんに頭を撫でられた。

「夕食のデザートが定番になったのは、ミケが来てからなんだ」

「そう。前は試合の後とか前とかにしか無かったんだよ」

言われてみれば。

最近ちょこちょこデザートがあるな、とは思ってた。

食器を片付けようと、立ち上がればマルコさん達も立ち上がって。
流しに水を張り始めたフィディオの隣に立って、食器を沈めていく。

「皆、ミケの事が大好きになったんだよ」

「へ？」

カウンター越しに、皆が笑う。

「正直、移籍の理由が理由だったし、な？」

アントンさんが肩を竦めれば、そうそう。と皆が頷いて、目を見合せて笑った。

「こんなに一生懸命マネージャーの仕事してくれるのに、好きにならないはずないよ」

ね？とご満悦そうなアンジェロさん。
可愛い。

頭撫でても良いでしょうか、ダメですよね。

水を止めたフィディオが、そういうこと。と得意げに笑った。

みんな、本当は。

ミスターKのことで殺伐としているのに。
それなのに、私を認めてくれて、それ以上の気持ちで包んでくれた。

「へへ、ありがとう！」

照れちゃうね、