自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep8 (ページ2)

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ミサンガへの願い。ページ2

「貴方からの提案なんて聞き入れる必要ありません」

溜め息混じりに返せば、楽しそうな影山さんの笑い声に嫌気がさす。

まあそう言わずに、聞け。そう言われてその場に座り込んで影山さんの話を聞いた。

なんでこんな話聞くんだろう、私。

『イナズマジャパンのマネージャーをやめて、イタリア代表のマネージャーになればいい』

「…なんで私がイナズマジャパンから離れてイタリア代表の、それもマネージャーになるんですか」

呆れてものが言えない、

「何を企んでいるのか知りませんが、これ以上イナズマジャパンの邪魔をしないでください」

『なら、その企みを懐に潜り込んで探ってみればいい』

言葉に詰まった、

それはそうだ。影山さんの近くにいて、影山さんの行動を監視して、全ての企みを未然に防げるなら、

いや、そんなの交渉材料にならない。

第一に私が潜り込んだ所で何もわからない、何も変わらない、

『いい返事を期待しているよ』

通話は切れて、携帯をとじて海を眺めた。

今この瞬間、この海の向こうで修也達、イナズマジャパンは試合をしてるんだ。

じゃり、とコンクリートと石ころが擦れる音が聞こえて振り向けば、
フィディオが立ち尽くしていた。

「イタリア代表のマネージャーって…？」

聞かれていたようで、困惑の表情のフィディオに私も動揺したままなのに。説明、しないとダメなんでしょうか。

視線を逸らして、右手を見詰めた。

私があの日ミサンガに願ったこと、

重々しく言葉にした声が、自分の平静を装ったものは違って

弱く、震えていた。

「影山さんから連絡が、きて…イタリア代表のマネージャーにならないかって提案された」

「なんだって、そんな…」

潮風が頬を撫でていけば、目に染みて目頭が熱くなった。

「皆を守る為には、邪魔をしないように止める為には影山さんの懐に飛び込んだ方がいいのかもしれない、」

「ミケ1人が抱え込む問題なのか？」

え？

思わずフィディオを見上げれば、隣に膝を着いて視線を合わせてくれた。

「正直、ミケがマネージャーになってくれる事は嬉しいと思う」

「…会って、そんなに経ってないのに。変な人」

真剣な眼差しに、言葉を詰まらせてしまえばフィディオは笑った。

というか、マネージャーの移籍なんて前代未聞過ぎるでしょう。

「そばに居たい人が居るんだろう」

ミサンガに視線を落としたフィディオ。

あの日ミサンガに願ったんだ…私は。