自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep8 (ページ1)

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始まるアルゼンチン戦。ページ1

円堂や鬼道さんが、フィディオと話をしているその後ろで響木さんへ電話をかけ続ける。

だめだ…繋がらない。

祈るように携帯を握り締めれば、右手のミサンガが目に映った。

「…うん、大丈夫」

信じてるよ、修也。
イナズマジャパンが負けるはずなんてない、だってエースストライカーの修也がいる。
GKには立向居くんがいる。

大丈夫。

時計を確認すれば、14:29

突然、バスが止まった。

「どうしたんですか？」

フィディオの問いかけに、窓から外を見れば車が沢山。
影山さんの考えそうなこと、

「事故みたいだな」
「え？」
「くっ、こんな時に…！」

窓から外を睨み付ける皆を他所に、携帯を落ちないようにしまい込み、靴紐を結び直した。

よし。

「円堂！」
「行くぞ！」

声をかければ、円堂も同じことを考えていたよう。

まじかよ、と不動さんの動揺が伝わる中、

「ありがとうございました！」

いち早く外へと出た。
続いてお礼をいって降りた円堂達と走り始めれば後ろからフィディオが心配そうに、

「大丈夫？かなり距離あるけど！」

「いい準備運動だよ」

走り出せば、1隻あった船。
やった！と希望を見出した瞬間、船は行ってしまった。

「そんな…」

もう、間に合わない。

建物の中へ皆が入っていく後に続けば、携帯がなった。

「ごめん、ちょっと電話出てくるね､」
「ああ。俺達は待合室で試合中継見てるよ」

円堂に手を振り電話に出た。

「響木さん…すみません、」

『いや。試合メンバーに円堂達が居なくて気になってな。もしかして…』

「はい。さっきまでイタリア代表の座をかけて、オルフェウスのメンバーとして試合をしていました」

響木さんの声色が変わった。

『影山か…？』

「はい。ミスターKと名乗りイタリア代表の監督として現れました。それより響木さん達はどこにいるんですか」

秋から居ないと聞いた、と言えば響木さんも申し訳なさそうに教えてくれた。

私達も、響木さんも、はめられた。

本部から試合中継を見る、と通話が終わった。

次にかかってきた電話を、名前を見ることなく出た。

「はい」

『試合には間に合ったかねA』

「……影山さん」

握りしめた左手に、血が伝う。
手のひらに爪がくい込んでも、行き場のないこの悔しさをどう処理したらいいのかわからない。

冷静になればよかったのに。

結局私も、家族の話をされた時点で影山さんの手のひらの上。

『1つ提案がある』