自由な君と。√24 ep.4 【ｲﾅgo】 (ページ4)

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擦れ違う太陽。ページ4

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「それでは狩屋さん、処方箋出しますのでお薬を受け取って下さいね」
「ありがとうございました」

診察室を出たAは、南雲の後ろを着いて歩く。
幻影学園と試合をしたあの日、行き止まりの通路で倒れていた日から数日間。記憶の混濁が見えていたAは、すっかり南雲達のことを思い出していた。

「何はともあれ、一時的なもんでよかったな」
「うん」

処方箋を受付へ南雲が提出し、空いている椅子へとどっかりと腰掛ける南雲に肩をすくめるA。

「どーした？」

赤い髪を揺らし、南雲が眉間に皺を寄せる。

「……あの日、何が起きたのか思い出せないのが気になって」
「あー…何かを追いかけるような映像だけ、残ってたらそらなぁ…」

南雲の隣に座り、深い溜息をつく。
ただ1つ確かな事はサッカーを守る、豪炎寺とその息子透也を守るという使命感が胸に燻るだけ。

「ま、俺達からしたらお前が無事ならそれでいーよ」
「はるや…」

頭を抱き寄せられ、南雲の肩に引き寄せられて。大きくなった南雲の力強さに目を伏せる。

薬を受け取り、南雲と共に病院内を歩いていればサッカーボールと戯れる少年がそこに。不意に足を止めて、オレンジ色の髪、まるで太陽の様な少年に目を奪われるA。

「A？」
「…今行く」

安堵してしまった。

少し見ただけでもわかる。まるでボールが少年の事を愛しているように離れられずに戻ってきてしまうような感覚。
それは並の練習だけでは得られない“才能”の一種。

そんな少年が、寝間着姿でいることに胸が痛むと同時に、ホーリーロードでは相見える事がないと安心してしまう自分に、心臓が嫌な脈を打つ。

ガラス扉越しに2人の視線はゆっくりと外れていく。
目が合うこともなく。楽しそうにボールと戯れる少年に南雲が少しだけ関心を見せ、そんな南雲の背中を追い抜いていく。

「まんまぁ！」
「わ！透也くん！」

エントランスに響いた声に、Aと南雲が目を見開いた。
そこには瞳子に抱えられた透也が。

「ごめんなさいね、迎えに行くと聞かなかったから」
「あんたな、」

仕方ないでしょ、朝からずっと泣き止まないんだから。と瞳子が南雲を睨みつけ、Aへとゆっくりと透也を渡す。

ふっくらとした温もりと、確かな重み。微かにミルクの香り。

「まぁまっ」
「なあに、透也くん。ずっと泣いてたの？泣き虫くんめ」

うりうり、と頬をつつきAは目を細める。

「さ、帰りましょうか」
「…うん」

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