自由な君と。√24 ep.4 【ｲﾅgo】 (ページ17)

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抱きしめる。ページ17

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「…A」

強ばる手で触れる。指先に触れる温もりは、確かにそこに居る証。

恐る恐る触れてくる豪炎寺の指に、Aがゆっくりと頬で擦り寄る。
体を預けるように、甘えてくる出会ってから今までをかけて紡がれた愛の重みに。豪炎寺は押し上げてくる感情を、思わず力む指先に。

「ただいま、修也」

その一言に、全てAが知っていることを理解して。

「……おかえり、A」

豪炎寺の瞳が揺れる。

「透也〜〜！ただいまっ！会いたかったよ〜〜っ」

豪炎寺の腕の中で、照れくさそうにする透也。
Aと目が合えば豪炎寺の胸の中に顔を埋め、ぐりぐりとしてから。ちらりと見上げ、本当に母親か確かめるように見詰める。

「…今までごめんね」

申し訳なさそうに眉を下げるAは、そっと透也の頬に触れる。
その瞬間、大きな透也の瞳からぽろぽろと雫の固まりが落ち始めた。

「〜ん、ぐぅ……ま、……っ……」
「透也？」

ひっく…とシャクリあげ始めた透也。
涙を零しながら大きな声で泣き出すこともなくて、ただ、我慢するように唸る。

「〜〜っ、ごめんね！！ごめんっ……透也、ごめんなさい」

滅多に泣かない透也が、感情をいっぱいに出して泣いても。
母親であるAは愛おしいその存在を抱き締められなかった。

それが、透也にとって無条件の愛を覆されたような裏切りを、言語化も出来ない、感情の意味もわからない乳児にとって、どんな意味を持つのか。

それが泣き出すことを堪えようとする意地らしい姿が、不甲斐ない母親であることを全て物語っている。

豪炎寺の腕から透也を抱き締めて。ぎゅうっと、包み込む。
久しぶりに抱く我が子はずっしりと重く感じて。ほんのり香るミルクの香りも、触れる柔らかな肌も。
赤く熟れた赤い頬に、頬を擦り寄せてごめんね…と涙を飲み込む。

「透也…」
「……うぅ……」
「とーや、ごめんね…これからはずっと傍にいるから。貴方の傍で守るから……」
「ふ…っ、ふぇ……ｯ」

優しく背中を撫でれば、肩にじっとりと染みる涙なのか涎なのかわからない温度。
小さな手で握りしめた手は、髪の毛を巻き込みかなり痛い。

「うっ、にぃ……っ……ふ、うううえぇぇえん」

耳元で大きな声で泣き声をあげる。
耳に響く超音波みたいな声。煩わしいと思う瞬間もあっただろう、あるだろう。それでも、その感情を上回る愛おしさに胸が締め付けられる。

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