自由な君と。√24 ep.4 【ｲﾅgo】 (ページ14)

今日:11 hit、昨日:6 hit、合計:2,786 hit

君を見守る風。ページ14

ㅤ
「約束するよ、どこにいても君の事を見守る風になる…」
「うん……」

風が優しく吹き抜ければそこにシュウは居ない。

「……ぁーぅ」
「おはよう…透也」

瞼を眠そうに擦る透也に、傷付いちゃうよとその手を止めて。
体を起こしたAの髪には木の葉が絡んだまま。

「…いこっか、透也」
「ん！」

風が空へと舞い上がった。
革命の風はついに、全てを吹き荒らし新しい時代を引き連れてやってきた。

ゴッドエデンに残っていた子供達が活気づいていた。
これで自由なサッカーが出来る、そう高らかに喜ぶ子供達をAは横目に、白竜を見付けた。

「白竜」
「A！先程雷門が優勝し、聖帝が」
「…白竜、」

言葉を遮り困ったように笑うAに、白竜はあぁ…と気の抜けた声。
そして腕の中にいる透也へと視線を向け、そうだったな…と。

「ちろー」
「……あぁ、透也」

もふもふの透也の髪をまるで犬猫を撫でるようにくしゃくしゃにし、白竜は笑う。

「また必ず会おう」
「会えるよ」
「……そうだな」

ふぅ…と溜息をついた白竜が、Aをまっすぐに見詰めた。

「直ぐに行ってしまうのか」
「……うん」

ターミナルに向かうよ、そういいAは用意してあったリュックへと手を伸ばした。

「俺は！」
「え？」

Aの背中に向け、白竜が声をはりあげた。
リュックを背負い、透也を抱き直したAが不思議そうに白竜を見つめる。

「お前に…貴方に会えて、よかったと思っている。また…共にサッカーをしよう」
「ありがとう、次は負けないようにね」
「なっ！！！！2度は負けない！！」

はいはい、と手を振りAは進んでいく。

「ちろー！」
「…元気でな」

ぶんぶんと手を振る透也と共に、Aは船着場へと向かった。

「……来るかなぁ」

不安そうに呟いたAに、透也が首を傾げた。

「ぱー」
「うん、パパ」

1隻の船が、強風に煽られ島へと向かう。
それはまるで追い風のようで、早く島へと背中を押した。

ㅤ