なまえ。 ページ12
ㅤ
あれから数日、ゴッドエデンの気候にも慣れてきた透也は芝生の上をハイハイして回る。
先日の試合、雷門と新雲学園との熱い戦いに触発された白竜を筆頭に、更に練習に力が入る面々。
「まんまぁ、」
「ん〜？」
サッカーボールと足で戯れていたAは、コートから十分に距離をとっていた透也を抱き起こした。
「わ、よだれ…」
「んきゃっあーっぶ」
すっかり喃語が上手な透也は、きゃっきゃっと嬉しそうに白竜達を指さして。
「あくうー！」
「…あ、白竜か。剣城くんを呼ぶのは上手なのに」
ふう、と溜息をつけばこてりと首を傾げた透也。
「きょーちゃん？」
「どうしてかなぁ。マサキは？」
「んん？まーたんっ！」
どこ？！と探し始めた透也に居ないよ、と誤りながらも。
「は」
「は！」
「く」
「く」
「りゅ」
「りう？」
「りゅうが難しいの？もういいよ、あの人は白のお兄ちゃん」
「ちろー！」
上手上手〜！と褒めていればおい。と頭上に声が。
「俺は白竜だ」
「ちろ！」
「違う。白竜だ！」
「赤ちゃん相手にムキにならなくても」
全く…と肩を落としたAに、白竜はまあいいと話を切り終え。
ホーリーロードが次で決勝戦である事をAへと伝えた。
「…次で、全てが終わるんだね」
「ああ。優勝したら…な」
白竜の顔が暗くなるのは、何か良くないことが起きると胸がザワつくからだろうか。
何事も無ければいいが…そう空を見上げる。
「…本当に、何事も無ければいいな」
ゴッドエデンへAを無事に送り届けた南雲が、帰り際に言った一言。
“お前はここで守れていてくれ”
その言葉が意味する全てを理解することはできないけれど。
雷門に居ても、聖帝の懐に居ても、安全が確保されていない現実に緊張が走る。
そして、同時に
それほどに、フィフスセクターという存在の大きさがどれ程の
危険をはらみ、肥大化しているのかが伺える。
「…何も出来ないって、辛い｣
呟いたAの言葉に白竜が困った様に腕を組み、咳払いを1つ。
「やっているだろう、自分に出来ることを」
「…それは、必要最低限だからであって」
ゴッドエデンに来てから、Aは当然のように食堂で手伝いをして。
当然のようにチームの自主練に加わり。
透也との時間も疎かにしない。
「まんまぁ…」
「あ！ごめんね、直ぐにお昼ご飯にしよう」
ㅤ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「イナズマイレブン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2023年6月23日 19時
