自由な君と。√24 ep.3 【ｲﾅgo】 (ページ10)

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「ちょっと、聞いてる？」

SARUに声をかけられ、壁にもたれていたAは額を抑え血の気の引いた顔でSARUをゆっくりと見上げた。

「……災厄の姫って」
「そこはどうだっていいよ」

SARUはAを見下ろすように佇み吐き捨てるようにAへ笑いかける。

「これ以上君が好き勝手しないように教えてあげるよ、ゴットエデンで行われている“教育”の本当の目的。だから、大人しくしていて？」

激しい頭痛に流れ込む情報。
拒絶反応を起こし、Aは意識を飛ばしてしまう。

「あーぁ、口なんて噛み締めるから血が出てる」

まあいいけど…っと、SARUはAを抱き上げる。
たらりとAの長い髪が垂れ、結っていた髪留めがこんと…小さな音を立て床へと落ちる。

「おやすみ、眠り姫」

小さく呟いたSARUはAを抱え暗闇へと溶けていく。

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この日、ゴットエデンから1人の教官が姿を消した。

廊下に教官の物と思われる髪留め1つを残し。

「……これはどう言う事だ」

椅子に座り、髪を弄る少女を睨み付けるように聖帝が低く唸る。
その声に目を細め唇を尖らせた少女は怯むことなく、睨み返した…。

「何者かによる歴史介入の残滓を確認しました。どうやら、ミケさんはこの時代から隔離されたようです……」
「この時代から……隔離？」

少女はこくりと頷き、空中へと指を弾く。
そこに映し出された映像には教官が消息を絶ったと思われる時刻の“記憶映像”が残されていない。

「この時代で言うならまさに神隠し…でしょうか」

奥歯を噛み締め、聖帝は広い机を握り締めた手で殴り付ける。
ドン！！と大きな音が部屋に響き、叩き付けられた衝動で机は揺れ。少女の髪が風圧で靡く。

「あいつの身が危険に晒されるなら、交渉決裂だ」
「心得てますよ。それに……」

少女は水色の髪を握りしめ、鋭い目付きで虚空を睨みつけた。

「あの人の為にここまでしてんだ……何があっても見つける」

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「…円堂守くん」

日が沈んだ河川敷。
土で汚れた頬を拭いながら、涙を流した少女。

そんな少女へSARUが歩み寄る。

「初めまして、眠り姫」

声をかけられミルクティ色の髪を揺らし、ゆっくりと振り向いた。

影を帯びた緑色の宝石のような瞳。
まばたきをし、SARUを見詰める少女は身体中、痣だらけ。

「僕と一緒に来てよ。今の君は帰る場所もないだろう？」

SARUの言葉に少女はただ、瞳を伏せるだけ。

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