自由な君と。√24 ep.3 【ｲﾅgo】 (ページ50)

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[こぼれ話] 母と子。ページ50

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「まぁぁあ！！ん〜〜ぅぅう！！」

土曜日の朝、雷門中のジャージ。肩のイナズマのシンボルを掴み離さない透也はAの耳元で世界最後と言わんばかりの大声で泣き続ける。

「透也さん、Aさんは部活に行かないいけないんですよ」
「やぁぁ！！！とおやもおおお！！！」
「透也くんは行けないよ…？！」

困ったな、と眉を下げるAとフクさん。
ジャージは既に透也の涙なのか鼻水なのか汗なのか、ぐっしょりと濡れていて変色している。

ひっく、えっくとしゃくりあげながら必死に離れまいと腕にしがみつく透也。
部活に行かないとならないのはわかっているけれど、どうしても目の前の愛らしい存在を抱き締めたくてならない。

「透也くん、ごめんね。でも、部活終わったら真っ直ぐ帰ってくるからね！時計の針が5を指す頃にはお姉ちゃんお家に帰るから」

ね？とあやすA。お日さま園に居たこともあり、年下の扱いには少しだけ慣れていた。

のだが、

「やあにゃ！」
「えぇ…」

相手は言葉を話せるとしても、まだまだ幼い。ましてや、言葉の意味を全ては理解していない。

何を言っても「いにゃ！」の一点張りで腕から離れない透也。
妥協案として雷門中までの道のりを3人で向かうことになった。

そうでもしないと部活へ遅れてしまう。いや、遅れた所でAは遅刻を気にしたことは無いのだけれど。

「まー！ぶーぶー！」
「うんうん、車だね」
「きゃー！にゃー！にゃんにゃーん！」
「にゃんにゃんは大きな声怖いにゃーん」
「にゃー？」

Aの腕に抱かれ、目をきらきらとさせて。
通り過ぎる景色全てを楽しそうに拾っていく姿。フクさんはそんな2人の姿に目頭を熱くさせては、1人涙を隠す。

「はい、イナズマのシンボル見えたよ透也くん。約束通りお家で待っててね」
「ぅぅう…」

頬をぱんぱんに膨らまし、尖らせた唇。

「透也さん、行ってらっしゃいしましょうね」

フクさんの腕に預けられ、離れるのが嫌だと眉間に皺を寄せながら小さく「いってらさい」を声にして。

「ん！偉いね透也くん！いってきます！」

駆け出したAはサッカー塔へと全力で駆け出していった。

短い針が5を指す頃。

「ただいま帰りましたー！」
「まぁーっ♡」

靴を脱ぐ前にAの足にしがみつき、嬉しそうに笑う透也。

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「あれ、2人は？」
「ふふ。疲れてしまったようでよく眠っていますよ」

ソファで重なり寝息を立てる2人に豪炎寺の表情は弛んでいた。
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