自由な君と。√24 ep.3 【ｲﾅgo】 (ページ44)

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接触。ページ44

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煮え切らないAの態度にAは手を伸ばした。本能的にわかる、目の前のもう1人の自分が何も言わず、逃げようとしたのがわかった。

Aへと掴みかかったA、その瞬間2人の身体に激痛が走った。

経験したことの無いその激痛に2人は折り重なる様に倒れ込み意識を手放してしまう。

前半終了のホイッスルが響き渡った…。

混濁する意識の中、産まれてから見た光景をまるで走馬灯の様に思い出す。
本当の両親と海の見える家。幸せが崩れた瞬間の痛み、現実を受け入れられず、叔父夫婦に重ねた両親の影。

苦痛の日々に、現れた1人の少年。
共に走る喜びを教えてくれた仲間達。星空を見上げ、そばに居ると約束をしたあの日。

“みんなとずっと一緒にいる”

エイリア石の力を用いた練習が始まる頃、高揚感を覚える仲間の中でただ1人、Aだけがその力を感じるとる事が出来なくて。

『…俺達で守ろう』
『え？』
『墓まで持っていくぞ、お父様にも知られてはならない』

涙を浮かべ眠るAを見詰め、誓い合った仲間達。

『Aにはエイリア石は必要ない。絶対に近付けちゃだめだ。いいな…』
『はい！バーン様』

大切な日々の思い出が粒子のように2人を包んでいた。

『エイリア学園も、サッカーも…俺のことも忘れろ…！』

「あーぁ、自分にだけは会わないようにって忠告したのに」

折り重なり意識のない2人を迷惑そうにSARUが見下ろしていた。

「君には死なれたら困るって言ってるのに、どうして大人しくしていてくれないんだろうね？一層のこと閉じ込めちゃおうか…」

淡い光に包まれたAが、重力を無視して宙に浮いた。
不意にSARUはAの掌に光るペンダントに気付き、眉間に皺を寄せた。

「これは…」

妖しい紫色に発光するそれはエイリア石と名付けれた隕石の欠片。
どういう訳か、2人のAが接触した際に姿を現したのだろう。

「…あぁ、なるほど」

全てを瞬時に理解したSARUは嬉しそうに笑う。

「間違いなく君は災厄を生み出した母だ」

Aの掌からエイリア石を奪い、SARUはAを連れて影に消えていく。

数時間後、SARUの庇護の元目を覚ましたAは状況把握に時間がかかり、霞んだ記憶を整理するように額を押さえる。

「私は、一体…」
「目が覚めたようで何よりだね」
「……SARU」

う、と額を抑えたAにSARUは恍惚とした笑みを浮かべるだけ。

「君を生かすのは“正解”だったよ」
「…は？」

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