自由な君と。√24 ep.3 【ｲﾅgo】 (ページ42)

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ピンボールスタジアム。ページ42

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試合開始のホイッスル。幻影学園のキックオフから始まった試合をAはベンチから見守る。

ユニフォームの上にジャージを着たAは眩しそうに観客席とフィールドを交互に見る。

「緊張…してる？」

山菜に問いかけられ、Aはぴくりと肩を震わせ言葉も返せずにフィールドを見つめた。

「嫌われちゃった…？」
「無視は良くないだろ〜」
「落ち着いてください」

しゅんとしたのも束の間、シン様♡と呟いた山菜はフィールドを駆ける神童へとカメラを向ける。
肩を組んできた瀬戸の腕を迷惑そうに払おうとするAに気にもしない瀬戸。

空野はそんな2人を見て、心配そうにフィールドへと髪を揺らした。

幻影学園からボールを奪った神童が直ぐに松風へパスを。
共に上がっていた剣城が「こっちだ！」と声をかけ、松風が応えるようにパスを出した

その時。

突然地面が隆起し、現れた壁にボールが当たり松風へと跳ね返り吹き飛ばされてしまった。

「あれはなんだど…？」
「出たーー！これがピンボールスタジアムの特殊機能“ジェットバンパー”だぁ！」

天城の呟きに応えるように実況の声が響いた。狼狽える選手、そして音無達。

「……これが、サッカー？」

Aは呟いた。
記憶上にあるホーリーロードと名前が変わる前に聞いたことのある中学の公式試合は“普通のスタジアム”だったはずだ。

「スタジアムによっては色んな仕掛け…特殊機能のついている事があるそうなんです」

耳打ちしてくれた空野にAは素っ気なく返し、フィールドを眺める。
ジェットバンパーと幻影学園に翻弄されながらも試合は進む。

鬼道が音無へ、ジェットバンパーの起動の瞬間を記録するように指示を出せば山菜がすぐにカメラを。

「A、お前ならこのスタジアムを攻略出来るか」

不意に鬼道に声をかけられ眉間に力が入るAは露骨に鬼道を凝視した。

「……何もしていないはずなんだが」

小さくぼやいた鬼道の言葉に音無がくすりと笑い、Aは小さく溜息を着いた。

「空は広いので」
「……ああ、そうだったな。お前達のプレースタイルは」

理解されたことが気に入らないとむすっとしたAは、それでも試合へと神経を研ぎ澄ませていく。
剣城の力量を見れば、GKから点を取るのは容易いだろう。

やはり、鍵となるのはスタジアムの攻略。

「！？」

不意に観客席に見つけた異質な空気を纏う姿。

「ちょっと行ってきます」

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