自由な君と。√24 ep.3 【ｲﾅgo】 (ページ40)

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触れる揺れる。ページ40

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震える手を握りしめ、Aは豪炎寺の真っ直ぐな瞳を見詰め返す。

「……未来の私は、無事のはずです」

それは、希望を絞り出したメモよりも可能性が広がった話。

「…まずは冷める前に夕飯にしようか」
「はい…」

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夕食を終え、豪炎寺がテーブルへミルクティの揺れるマグカップを置く。
当然のようにカップへと手を伸ばし、程良く暖かいカップの淵に唇を添える。

「…話の続きだが」

湯気の揺れるカップをテーブルへ置いた豪炎寺は、深呼吸をしAへと視線を向ける。足の指先を気まづそうに揺らすAは記憶をたぐり寄せるように言葉を落としていく。

「私は、私を守る為にこの時代に連れてこられた…んだと、思います」
「誰か…は思い出せないんだったな」

こくりと頷き、甘く揺れるミルクティを覗き込みAは豪炎寺を見上げる。

「未来の私に何が起きているのか…教えてください。私にも出来ることがあると思うんです」

何とか、力になりたいと願う。
強い意志を秘めた瞳に豪炎寺はカップへと手を伸ばし、淵をなぞり押し黙る。

────雷門をホーリーロード優勝まで導いて欲しい

喉につっかえ、何も言えない。言葉を飲み込むように豪炎寺は珈琲を喉へと流し込む。

「豪炎寺さん…」

不安そうなAの声に目を伏せ、豪炎寺は遠く感じるAへと想いを馳せる。
Aが居たなら何と言っていただろうか。

思い出した数々は、相談もなく飛び込み傷だらけになったAの姿ばかりで。大人しく守られていた試しもない。であれば、姿をくらませたままのAも、大人しく守られているはずが無い。

「…ふっ、」

思わず笑ってしまった豪炎寺は目の前の小さなAを見据える。

「何も言えない…けれど、守らせてほしいんだ」
「そ、れは…」

瞳の奥に揺れる熱が、小さな胸に。

「なんて、お前には難しいだろう」
「んぃ〜」

頬を優しく摘まれ、Aは不思議そうに豪炎寺を見つめる。
相変わらず柔らかいなと、くしゃりと笑う豪炎寺にとくりと高鳴る胸。

願ってしまった祈ってしまった

目の前で笑いかけてくれる優しいこの人の笑顔を守りたいと

頬に触れた手に、手のひらを重ねるA。
少し驚いた豪炎寺の表情に八重歯を覗かせ、Aは笑った。

「それなら私も守ります、未来の私も。豪炎寺さんの事も」

豪炎寺の瞳は水気を帯び揺れる。
伏せた瞳は零れ落ちようとした雫を隠すように閉じた…。

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