自由な君と。√24 ep.3 【ｲﾅgo】 (ページ38)

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弾む声。ページ38

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「ただいま」

ぴんと耳を立てるようにAはソファから玄関を覗き込み、靴を脱ぐ音を聞きつけ、とたとたと玄関へと早足になる。

「おかえりなさい」

豪炎寺へと嬉しそうに微笑むAに同じ様に、目尻を下げた豪炎寺が頬を緩め優しくAの頭へと手を伸ばす。

「学校はどうだった」
「あー……遅刻しちゃいました…」
「……！ㅤそうか」

ゆっくりと掌に馴染む髪を撫で、豪炎寺はライトを反射させるネックレス達を外していく。
今日は透也はお日さま園に泊まることになっていて、Aと豪炎寺と2人きり。

「夕飯は食べたか？」
「これからです、あの豪炎寺さんは…」
「一緒に食べようか」
「〜ｯうん！」

着替えてくるよ、そう言い残し豪炎寺は部屋へと向かう。
スーツを脱ごうと手をかけ始め、不意にサイドテーブルに1枚の紙がある事に気付いた。

妻が愛用していた三毛縞の模様が描かれたシンプルなメモ。

「ｯ？！」

ジャケットをベットへと放り投げ、メモへと手を伸ばす。
そこに記されていた言葉。

“待ってて”

たったそれだけ。あいつらしい…と力無く肩を落としベットへと埋もれるように背中から倒れ込む。

短い文面からAが「待っていて」という言葉を選べる状況なら
こちらから伺うことは出来ずとも、少なくともAからは現状の把握、またはアクションが取れるのだろうと希望を絞り出していく。

ラフなTシャツに着替えた豪炎寺はリビングへと向かう。
電子レンジで惣菜を温め直すAの後ろ姿。

「…サッカー部はどうだった？」

不意に話しかければ、鍋を温めようとお玉を出したAが振り向く。
小首を傾げ、お玉で空を掬うよに動かしながら宙を仰いだ。

「個性的…？」

熱烈な1年と対象的に、警戒を見せる2年。そして、距離を置き、困惑を隠せない3年。
実力を見れば群を抜いて1年の剣城の名前が上がるが、荒削りながら松風の軽やかなドリブル。
チームを纏める司令塔として力を見せる神童。それぞれがFWと言われても頷ける程のキック力も合わせる攻撃型にも思える雷門。

嬉しそうに部活の様子を語っていたAはふと、思い出したように豪炎寺を見上げる。

隣に並び、食器を出していた豪炎寺はゆっくりと首を傾げAを見詰め返した。

「フィフスセクターから入部を認めないって通達があったようで…」
「気にする事はない」
「……あの、私に何か出来ることってありませんか？」

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