自由な君と。√24 ep.3 【ｲﾅgo】 (ページ18)

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豪炎寺に手を引かれ、選手は立ち入り禁止とされていた個室に招かれるA。
顔色を伺うように見上げれば、険しい顔付きで豪炎寺は広いグランドを見つめていた。

「…あの」

控えめに声をかければ、小さな声を拾い上げるように目を細める。
ん？と小さく首を傾げ視線を合わせる豪炎寺に、Aは躊躇いながらも口にした。

「あそこに……知り合いがいる…んです」
「……知り合い？」

ふいっと視線をグランドに戻した豪炎寺はまさか…と息を飲む。
“出会った頃の記憶が無い”とAが話していた円堂の事だろうか。

「エンシャントダークのキャプテンで…」
「確かシュウ…だったか？」

こくりと頷いたAは、島を離れる前にはシュウと話がしたいと。

「時間があれば調整しよう」
「ありません」

調整する気は毛頭ないのだろう、秘書が即答したのだ。豪炎寺がちらりと見ても意図的に視線を逸らし会話を拒否。

秘書として有るまじき行為ではあるのだが、彼女を秘書という立場から外すことも出来ない理由が。

「あの、できたらで……大丈夫です」
「…悪いな」

用意されていた椅子に腰掛けた豪炎寺。
Aは当然のようにその隣に立ち、始まる試合を観戦する。

椅子くらい用意してくれたっていいものを。そう思いながら豪炎寺は再び秘書を見上げるも、意志を組むつもりは無いと再び逸らされる。

深い溜息をつき、豪炎寺はグランドに釘付けになるAへ声をかけた。

「ここへ座ればいい」
「……へ？」

ここ。

指定されたのは豪炎寺の膝で、その言葉を聞いた秘書の顔を無意識的に伺うAはどうしたものかと視線が左右に動いてしまう。

「〜ｯ聖帝！！」
「椅子がないから仕方ないだろう」
「〜〜すぐにご用意を」

最初からそうすればいいのに…と呆れたような豪炎寺は動揺したままのAへ微笑みかける。

豪炎寺の望むところとしては、膝の上に乗せても構わないのだろう。
当の本人であるAがそれどころではなくなってしまうのは、話が別しても。

試合開始のホイッスルが鳴り響き、ハッとしたAは窓ガラスへと駆け寄り試合を凝視する。

公式戦を初めて目にするAは、広いグランドを駆け回る少年達の姿から一瞬の隙も逃さぬように見詰め続ける。

それはエイリア学園という鎖された世界で見詰め続けた試合とは異なる。
己の信念をかけた熱気のぶつかり合いだった。

「これが…サッカー」

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