自由な君と。√24【ｲﾅｲﾚ】 (ページ8)

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ゆずれませんページ8

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校内の桜並木を歩いていれば、胸元に花のコサージュを付けた新入生に名前を呼び止められた。

「豪炎寺先輩…！」

振り向いた豪炎寺は、Aと目を合わせて首を傾げた。
後輩との付き合いはある程度あるけれど、女子は音無以外記憶していない。

黒い髪の、小さな1年生。

可愛らしく頬を染め、大きな制服からは控えめに指先が覗いていた。
雷門にいた時に見覚えも…何も無く。サッカー部員以外との付き合いが希薄すぎ、思い当たることもない。

「すまないが、どこかで…」
「いえ、お声をかけたのは今日が初めてです」

ちらりとAを見て、深呼吸をした1年は深く頭を下げた。

「放課後！お時間を貰えませんか？」

ごくり、と喉がなった。
確かに視界にAの存在を目視しているのに、彼女という存在を前に。大胆な発言に思わず豪炎寺も瞬きを繰り返した。

思い上がりでないとすれば、間違いなく告白。

不安げに眉を下げたAが豪炎寺を見詰める。
視線に気付いた豪炎寺は、Aの手を引いて真っ直ぐに1年へと声をかける。

「申し訳ないが、そういった話なら応じられない」

頭を上げた1年は手を繋いだ2人を見て、動揺することもない。

「それなら、今ここでよろしいですか？」

今度はAが瞬きを。
この子の心は鋼なのだろうか。

「ここで話せる内容なら」

豪炎寺の言葉に首を傾げ、頷いた。

「…好きです、豪炎寺先輩の事が」

思わずすれ違った生徒すら2度見をしてしまう。
いや、ここで話す事ではないだろう。

なぜ、行けると思ったのだろうか。

呆気にとられ、何も答えられないでいた豪炎寺。
我に返ったAが慌てて繋いだ手を引き寄せ、豪炎寺の腕を抱えた。

「ごめんなさい！私が修也とお付き合いしているので…その」

少しづつ小さくなる声。

「……ゆずれません」

しっかりと、腕を抱きとめて。

驚いた豪炎寺が、目を見開いている間。必死に威嚇するようなAと、不思議そうに見つめる1年。

腕にしがみついたAを見詰め、視線をゆっくりと逸らす。

打ち震えていた。

初めて見せたAの嫉妬。
雷門にいる頃、どれだけ告白されていると耳にしても、目にしても。動じること無かったAが。

あの、無関心にも近かったAが。

真っ直ぐに目を見て、譲れないとしがみつく。

「絶対に、修也はだめ……！」

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