自由な君と。√24【ｲﾅｲﾚ】 (ページ22)

今日:11 hit、昨日:7 hit、合計:9,093 hit

大好評。ページ22

ㅤ
「マッドハッターと白うさぎか」

霧野が呟けば、なるほど？とAは首を傾げる。
視線に気付いた豪炎寺が目を細め、Aへと笑いかけた。

「うっ…！」「ひぇ」

その間にいた生徒が巻き添えを食らう。
胸を抑える数人を不思議そうに横目に、帽子屋は眠りネズミへと手を伸ばした。

「可愛い」
「ひゃぁ…」

ストレートな言葉に耳を引っ張り顔を覆ってしまう眠りネズミ。

「霧野もチシャ猫似合ってる」
「ありがとう。豪炎寺くんもマッドハッター似合ってるよ」

笑いあっていれば鬼道に手渡された立板。
そこには「2-B ふしぎの国のお茶会」と書かれていた。その為の白うさぎだと言いたげな視線。

「沢山アリスを連れてこいよ、鬼道！」
「豪炎寺もな」

名指しをされたマッドハッターと白うさぎは笑い合い、教室の外へと。
不安そうなAへ、委員長が輝かしい笑顔。

「Aと霧野はウエイトレスお願いね」
「そ、そんな、私には無理だとおも、」
「何事も挑戦だよ〜」

軽快な音楽と共に、文化祭は始まった。
開始から数十分もすれば顔立ちのいい白うさぎと帽子屋に声をかけられた、と数組が早速やってきた。

「帽子屋さんの人めっちゃイケメンじゃない？」
「ね〜！連絡先聞きたいなぁ」

立板を手に、教室まで案内する帽子屋とウサギに黄色い声が送られる。
気にしない2人は日常として慣れてきているのだろう、引き止める声もそこそこに早々にクラスを離れていく。

「こ〜ら、顔が怖いぞぉA」
「んぃ〜いひゃい〜」

妬いてしまったAの頬を霧野が無遠慮に引っ張れば
涙目になりながら、赤く染まる頬を摩る。

「…なあなあ、あの二人可愛くない？」
「思った」

ハキハキと楽しそうなチシャ猫と、目の合わない眠りネズミ。
大きめの上着の下にニーハイと短パンがちらりと覗いて。

2人のすらりと伸びる足に釘付けになっていた。

.

大好評だったふしぎの国のお茶会は満を持して終了した。

「は〜…Aさんの眠りネズミ可愛かったなぁ」

後夜祭も終えた後で写真部のような立ち振る舞いだった音無がうっとりと、画像の確認を。

「特に、帽子屋さんと一緒にいる所なんて皆喜んでましたね」
「うん、なっちだけがね？」
「あれ？？」

柴葉と余韻に浸る音無は、その画面の中に煌めく笑顔を見つけて頬を緩めていく。

一瞬を切り取る、奇跡にもにた瞬間を他の誰でもない。
自分の手で彩ることが出来るのが、シャッターを切る喜びだろう…。

ㅤ