自由な君と。√24【ｲﾅｲﾚ】 (ページ17)

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夏の終わり。ページ17

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「おはよう、A」
「おはよぅ……あき…」

寝癖が大爆発したAの髪を、木野が耐え切れずに笑いだした。

「明日から学校ね、課題終わってる？」
「おわってる…」

うわ言のような返事に、まだ眠り足りないことを理解しては目覚めのコーヒーを出される。

「に……」
「ほおら、起きて」
「うぅ」

苦い。と舌を出し、まだまだ子供舌である事を痛感するA。
時計を見て支度して出かけないと…と呟けば木野も時計を見詰めた。

「気を付けてね」
「秋、何だかお姉ちゃんみたい」
「ふふ。Aと姉妹になれたら毎日楽しいね」

朝食を済ませ、身支度を終えたAは木野へと元気に手を振り駅へと駆け出した。
そんな後ろ姿を見送った木野は、空を見上げて瞳を揺らす…。

駅の改札をICカードでタッチしては駆け抜けていく。
ホームへと駆け下りていけば、目的地へ向かう電車がそこに。

数時間、電車に揺られ降りれば。
商店街の小さなお花屋さんで数本だけ花を購入し、大切に花を抱えて辺りを見れば。

「晴矢！」

ぱっと、花開いた笑顔を向けられた南雲は、スマホから視線を上げて駆け寄るAを見詰めた。
目を細めたその先に、幼いAが必死に名前を呼んで追いかける姿と重なった。

「おせぇよ」
「ごめんて、ちょっと選ぶのに時間かかっちゃった」

何も言わず、歩き出した南雲の後を嬉しそうに着いていく。
山に拓かれた階段を抜け、青い木々を抜けた向こうには澄み渡る水色の空と。

幾数の墓石。

迷わずに1つのお墓へと向かった2人は、花を添え手を合わせた。

そよぐ風が、頬を撫でるように柔らかなミルクティ色の髪を攫う。

伏せた瞳が開けば、硝子玉のようにキラキラと太陽の光を散りばめたように輝く。
見上げた先の南雲と目が合えば、何も言わずに乱暴に頭を撫で回されAは楽しそうに笑い声を上げる。

「…で、あんたはいつになったら彼氏くんと墓参りに来るんだよ」

帰り道、南雲から告げられた言葉にAは足を止めた。

「正気ですか？」
「あぁ？」

南雲の頬へと手を伸ばし、Aが怒ったように頬をむくれさせる。

「彼氏に墓参り付き合ってもらうとか、ちょっと重たいじゃん」
「自慢げにその重たいのを半分持つって惚気けてきたの誰だよ」
「それとこれとは話が違うじゃん」
「意味わかんねー」

上着のポケットに手をしまい込んだ南雲は、ころころと表情を変えるAを見て目を細めた。

その笑顔を見られるだけで。

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