▽増田side▽ ページ4
手越。
頑張れ、だなんて。
俺、言わないから。
…だから、頑張ろう。苦しいし辛いししんどいのに、最悪だろうけど。
本当に心配なんだ、我慢しちゃう手越のこと。
…でも、さ。
一緒なら、支え合える、よな？
我ながら微妙なところに気付いたと思うけど、その微妙が案外大事だったりする。
小山とシゲがマネージャーのところに行ってから…何分だろうな、本当にすぐのことだった。
手越が、物凄い勢いで震えだしたのは。
震えっていっても、痙攣とかじゃなくて。多分寒さにだと思うんだけど、がたがた震えていた。
慌てて背中に乗っていた手越をソファにおろす。
増「手越っ！？…手越、大丈夫？寒いの？」
手「…っ、はぁっ……ん、はぁ、さむ…い…」
熱のせいで潤んだ瞳でじっと見て来るものだから、ぎゅっと胸が締め付けられる。そうじゃなくてもなんだろうけど。
増「寒いねぇ、…タオルで我慢してね、ごめんね」
なるべく優しく言おうとするのに、心臓がばくばくと脈打って声が上ずる。
手「…はぁっ……っうん…」
ソファの下に落ちてしまっていたタオルを軽くはたいて手越の体にかける。…こんなことなら、重くても嵩張っても毛布を持って来れば良かった。
…でも、タオルだけでも置いてあって良かった、とも思う。シゲと小山は自分の鞄を持って行ってしまったから。
増「大丈夫…大丈夫だからね、頑張ろう。寒いね…」
手越の前にしゃがみ、手を取って握る。その手はすごく熱くて。さっきまで青白かった手越の顔はあっという間に火照ったように赤くなった。
増「やばいな…熱…上がってるのかな」
手越が不安にならないように、聞こえないように。小さな声でぼそっと呟く。不安な気持ちを押し込むと、更に不安になる、きっと。
…不安なのは、俺、なんだけど。
手「……はぁっ…まっす…はぁ、……っ…」
手越が辛そうに目を閉じる。寝るわけじゃないのは一目瞭然、本当に辛いんだろう。それに耐えている。想像するのも苦しい。
増「…てごし…」
手越の手を両手で包み込んで俺も目を閉じる。
どうか、手越を少しでも楽にしてあげてください。俺はいくらでも具合悪くなっていいから。
…そんなことを、願いながら。
手「………っ…」
目を開けると、手越は向こう側を向いていた。顔が見えない。そのかわりか、押し殺したような声が聞こえる。
増「……手越？てごしー？こっち向ける？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 165人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふわり(プロフ) - アスタさん» 完結してしばらくたったのにまだ読んでくださる方がいたなんて嬉しいです（ ; ; ）こんな長く拙い文を読んでくださったんですね光栄です…！私のお話で泣いてくださったなんてめちゃくちゃ嬉しいです、わざわざコメントありがとうございました……！(^^) (2017年10月6日 22時) (
レス) id: 841f60ac53 (このIDを非表示/違反報告)
アスタ - 今更ながら最初から読みました！初めてこういう小説でマジ泣きしました｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2017年10月5日 2時) (携帯から) (レス) id: c9d4810d09 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - 手越香澄さん» ありがとうございます（ ; ; ）私もこれを書くのが日課だったし楽しみだったし、なにより寂しいです（ ; ; ）いつもコメントありがとうございました…！長い間ついてきてくださってありがとうございました(^^)また是非コメント欄でお会いしましょう！ (2017年8月24日 19時) (レス) id: c582c8dc51 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - すだちさん» 素敵だなんて…！嬉しいです(>_<)ありがとうございます！確か前もコメントくださいましたよね、？またコメントしていただけるなんて嬉しいです…！これからも頑張ります…！また是非コメント欄に遊びにきてくださいね(^^)いつでもお待ちしています…！ (2017年8月24日 19時) (レス) id: c582c8dc51 (このIDを非表示/違反報告)
ふわり(プロフ) - ゆきさん» こんなに長かったのに全部読んでくださってありがとうございます(^^)文章を褒めてもらえる日がくるとは…。嬉しいです！新作出しましたので興味があればのぞいてみてください(>_<)番外編…！考えてなかった！けど書きたいです！そのときはまたお願いします…！ (2017年8月24日 19時) (レス) id: c582c8dc51 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふわり | 作成日時：2017年6月5日 22時
