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でも少し、惜しい気もした ページ4

覚えていますか、巌勝様。いえ、貴方は絶対覚えていないでしょうね。だって貴方は昔から刀にしか興味を持たなかったから。

人質として捕らわれていた私は、いつ殺されても良いように、枯れるまで怯え、涙を流していた。そんな私に、貴方は笑いかけて、生きる意味をくれた。

絶対に逃がしてやらないと思った。私という人間が生きる意味。一人で戦場で死ぬなんてさせはしない。死ぬなら私も死んでやる。そんな思いを持つようになった。でも本当は、

「巌、縁……?」

皺くちゃな手に、誰かが触れた。長男の巌縁かとも思ったが、彼はこんな刀を握るためだけに生きてきたような手をしていない。

一瞬、ほんの一瞬だけ、己の手から逃がした月の人が浮かんだ。彼もこんな、刀を握るためだけに生きてきたような手をしていた。

あのね、みちかつさま。

「A……」

そんなわけ無いのに。彼が私の隣に、ほんの一瞬でも戻ってくることはありえないのに。手放したのは自分なのに。

「巌、勝、様……」

本当は、
ほんとうはね!

とても、寂しかったのです。
とっても、うれしかったんです!

呪いからは逃げられない→←さようなら、愛しい月の人



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作者名:クレイジーnight | 作成日時:2020年4月18日 2時

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