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今日も街中の小洒落たカフェに行く
待ち合わせしてはいないけど、いつもいる彼。
私は彼に逢いに行く。
あっ、いたいた!
『ふふっ、こーろんさんっ』
こ「あ!Aちゃんっ」
眼鏡を付けて分厚い本を読んでいたころんさんは
そっと眼鏡を外して私に微笑みかける。
ころんさんはこの街の象徴ルークセント城の王子様。
と言っても私は城のお嬢でもなんでもない。
街の小さな本屋を営む家系の娘なのだ。
助けて貰ってからずっと思いを寄せている。
助けて貰った時の話はまたこんどするね。
こ「Aちゃんが好きなパウンドケーキ、頼んでおいたよ」
『ほんとー?私の好みももうわかっちゃってるのね笑』
Aちゃんのことならなんでも知ってるよ、と
くすくす笑うころんさん。とっても大好きだ。
『私ね、白馬に乗ってるころんさんが見たいの』
こ「白馬は上等騎士にならないと乗れないんだよね」
こ「僕は今、上等騎士から二個も離れた位なんだ」
こ「まあ、Aちゃんのお願いなら頑張って武芸に励むとするよ」
『ふふっ、ころんさんはとっても素敵ね』
『ほんと私なんかが話せてるのが夢みたいっ』
そう言うと決まって
こ「ん、僕の前では私なんかって言葉は禁止って言ったよね? 」
こ「僕はAちゃんだから一緒に居るんだ。悪いかね? 」
『んふふっ、ごめんなさいっ、今を楽しみますっ』
パウンドケーキを頬張りながら
ころんさんのお城の中の話を聞く
この時間がとっても好き。
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『もう帰らないといけない時間っ』
こ「あぁ、もうこんな時間か。家まで送るよ。」
『いや、大丈夫ですよ、確か18:30から武術の習事でしたよね? 』
こ「そんなの構わない。Aちゃんが襲われたら僕が武芸をする理由は無いからね。」
『はぁ、思わせぶり過ぎます、ころんさんは』
こ「何がだい?まぁいいさ、ほら、冷えてきたから。」
そういって白地に中の生地が水色のころんさんらしいコートを
羽織らせてくれた。
『ころんさんのにおいがしますっ』
こ「僕の匂いが好きなの?くふふっ」
『大好きですよ』
こ「じゃあ今度僕の部屋に置いてあるアロマをあげるよ。」
『ほんとうですか!』
まもなくして家についてしまった。
こ「それじゃあ、先日から夜は冷えるから風に気をつけて。」
『はいっ』
かちゃんとブーツの金具を鳴らしながら小走りで帰るころんさん
体に残った残り香が私の鼻を擽る。
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作者名:ゆにゃん | 作成日時:2021年10月22日 20時