桜、咲いたよ。[tk×in]

#30 ページ31

side kei

｢通せっ！｣

止まらない咳の発作。

その中で、微かに聞こえた、大好きな人のこえ。

｢たか…き…｣

有｢こんな時まで、あいつのこと？｣

彼はそれから、何度も深く口づけをして、

俺は、もう感覚を無くしていた。

｢大ちゃ…｣

有｢ね、来ないでしょ？

だから、俺と一緒に気持ちよくなろ？｣

目の前に差し出された掌。

重たくなるまぶた。

｢なる…｣

もう感覚さえない自らの体は、自分の意志とは真反対に動き出す。



｢伊野尾くんっ！！｣


愛する人ではない人に恍惚しかけた心は、

その声にもう一度だけ、 心を許した。

有｢高木っ…｣

そう言うと大ちゃんは、俺にしたように、高木に、





深く、口付けた。

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