桜、咲いたよ。[tk×in]

#28 ページ29

side yuya

｢見つけた。｣

ざっと15人の男達。

俺より大きい。

それと囲まれている女装した2人

状況が飲み込めないけど、とりあえず瞳が潤んだ2人を見て、何かを察する。

｢んだよ、てめえ。いまたのしいことすんの。
邪魔しないでくれる？｣

鋭い瞳、刺さる視線。

死ぬかも。
なんて思っても、俺が出したの言葉じゃなくて手。

｢絶対、守るから。｣

儚げで、今にも消えそうで、俺には一生縁のない高嶺の花って思ってた伊野尾くんは、今、涙を堪えた瞳で、こっちを見てる。

助けなくて、どうする？

そっからはもう、あんまり記憶はない。

ただ、

我に返った頃には傷だらげで自分が立ち尽くしてるとしか。

もちろん、

その高嶺の花が、俺に花を咲かせたなんて、知らない。

｢ありがと、高木。｣

｢初めてちゃんと高木って言ったし。
てかもうこんな危ないとこはいんなよ。
そして撮影もどれ。｣

その花の頭をポンポンと撫で、立ち去る。

その時、憎しみの花が、また俺に花開いたことも、俺は知らない。

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