Peep into THE RAMPAGE４

154『後輩』× Ｍakoto.H ページ4

(慎side)


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…卒業式って、嫌だな


学校の桜並木、まだ蕾をつけただけの木を見上げて憂鬱になった。




「…あ、まこっちゃん！」



慎「Aさ…、」




どんなに騒がしくたって、その声だけはすぐに分かる。振り向けば左胸にコサージュ付けて卒業証書を手にしたAさんがいて。その目は…




慎「どんだけ泣いたんすか笑」



「だって卒業だよ？寂しくて、」




真っ赤な目、まだ薄らと涙も溜まってて

多分そのせいで、少しだけもらい泣きしそうになった。





慎「…卒業おめでとうございます」



「…ありがとうまこっちゃん。君はあと一年、悔いのないように過ごしてくれ」




ポンポンと肩を叩きながら笑いかける、そんな姿を見るのももう…最後？



なんで俺、
Aさんと同じ学年じゃないんだろう

なんで一つ下なんだろう



Aさんは俺より先に行く
だから俺の気持ちなんて届かない




「…まこっちゃんと一緒に卒業したかったなぁ」



慎「え？」



「そしたら寂しい理由、ひとつ減るのにね」




苦笑気味でそんなことを言うAさんに
胸の奥が疼いた。


…いつもこの人はずるい


そうやって俺はいつも振り回された


……届きもしない恋心に




「…うん、よし。最後にまこっちゃんの顔見れたから悔いなし！」




頬っぺをぱちんと叩いて笑ったAさん

その言葉は 本当の本当に最後 だってこと。





慎「Aさ、」



「あ、まこっちゃん。これいる？」




まだ、いる なんて答えてないのに左胸のコサージュ外して俺に差し出してくる。




「第二ボタンはさすがにないから笑」




…あぁもう、男は俺なのに
やることがAさんの方がカッコいいなんて



このまま終われるわけない。





慎「Aさん」



「ん？」



慎「それ、今はいらないです」



「…今は？」



慎「…来年、俺が卒業したら交換しましょ」



「…え、」



慎「それまで取っといてください」




驚いてるAさんの手からコサージュを取り、左胸にそっと付け直した。


まこっちゃんって小さく呟くAさんの顔は
ほんのり赤く染まってて





慎「俺、ここ卒業するまでに、Aさんと並んで歩けるような男になるんで」




大学行って、どんなにいい男がいても




慎「…待ってて」




「……生意気」




ぽろぽろ涙を零すAさんの手を引いて
胸に閉じ込めた。





慎「……卒業おめでとう」





必ず迎えに行くから それまで待ってて

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