Peep into THE RAMPAGE４

170『先輩』× Hokuto.Y ページ20

(北人side)


.



翔吾「ほくちゃーん？」


北人「んー？」


翔吾「…まーた見てる」




窓から校庭を見下ろす俺の横で、同じように手すりに肘ついて「面白い話持ってきたんにな〜」って翔吾が口を尖らせた。



北人「…面白い話って？」



翔吾「ふふーん、あの子！」




待ってましたと言わんばかりの顔で指をさした先
ついさっきまで目で追ってたあの子、この春うちの高校に入学して来たばかりの後輩ちゃん。

名前は……




翔吾「名前、Aちゃんいうんやって」


北人「A…ちゃん、」




知らなかった。
入学式の日、満開の桜に携帯のシャッターを向けて写真を撮る姿に見とれて以来
彼女のことがどこかで気になっていて…

なのに、




翔吾「まぁあんだけ可愛けりゃ噂になって、名前なんてすーぐ……、ほくちゃん？」


北人「名前まで可愛いんだけど、なんなの」




彼女のクラスは体育だろうか。Aちゃんが歩く度、高い位置のポニーテールが揺れて、その都度俺の心も揺さぶられる




翔吾「あんだけモテモテのほくちゃんをここまで虜にするとはね〜」




面白そうに言わないでって、
俺だってやばいことくらい自覚してる

だけどそれぐらい可愛くて……


え？




翔吾「…あれ、ナンパされとるやん笑」




Aちゃんに近付く男2人組
誰だろう、Aちゃんと同じクラスの人かな


…にしても距離近いな、もっと離れろよ。



いいなぁ同い年、なんで俺は先輩なんだろ




翔吾「…はぁ、笑」


北人「…なに」


翔吾「ぶつくさ言っとらんで、さっさと行動すりゃいいのに……っと、」


北人「翔吾？おま、何する気」




体勢を立て直し、窓の外に顔を出した翔吾は
俺の質問に答えることもなく、胸いっぱい息を吸い込んで…


ん？息を吸い込んで？




翔吾「Aちゃーん！」




でかい声で下にいる彼女の名前を呼ぶ
呼んだこともない、知ったばかりの名前。

もちろん聞こえた彼女も何事かと上を見上げて

…目が合うと、元々大きい目を更に見開いた。




翔吾「ほらほくちゃん、」


北人「え、あ…が、がんばれ！」




背中小突かれて、慌てて出した言葉なんてそんなもん。俺の横で ぷはって吹き出す翔吾には目もくれない、だってAちゃんがずっと俺を見てるから。




「…ありがとうございまーす！吉野先輩！」




とびきりのスマイル？
そんなの聞いてないって



こんなに遠くにいるのに俺、眩しくって仕方ない




あー、恋って楽しい。

171『恋人』× Kazuma.K→←169『メンバー』× RMPG

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す