93『後輩』× Hokuto.Y ページ43
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北人「A先輩!」
ハロウィンの日がたまたま文化祭と被った今日、出し物に関係無くどこのクラスも仮装に力が入っていて。去年の何倍も盛り上がっている中、買い出し帰りの私に声を掛けてきたのは後輩の北人くんだった。
「吸血鬼…?」
北人「ヴァンパイア、です」
ひらりとマントを靡かせて薄らと笑う北人くんは、髪型のせいか仮装のせいなのかはよく分からないけどいつもより格好良い。
北人「先輩は仮装しないんですか?」
「私そういうのキャラじゃないから笑」
北人「えー絶対似合うのに…」
はいはいって軽く流して歩き始める私に「先輩!」って慌てた声が聞こえて振り向くと
北人「後で先輩のクラス行きますね」
もう既に周りは女の子だらけの彼にとりあえず笑っておいた。あれだけモテてれば私なんかに構ってる時間なんかないでしょって、何だか腹が立った。
教室に戻ると『遅い』って友達に怒られて、強引に店の奥の方へ連れて行かれた。
「……え、」
そこで手渡されたドレスのような衣装に思考が停止する私の肩を叩いて『北人くんが来る前に着替えちゃってね』悪戯に笑う友達。
「…北人くんとはそういうのじゃないから」
名前を聞けば、さっきの光景が浮かんでまた腹が立つ。少し強めの口調でそう言うと『いいからさっさと着替えて』と催促された。
…乗り気じゃないなぁ
「これ絶対私に似合わない」
『今すぐ着替えないとまた買い出しね』
ペナルティを言い残して表に出て行ってしまった友達に、もう仕方ないと割り切ってドレスを手に取った。
暫くすると、『A、彼が来た!』って凄く嬉しそうに呼びに来た友達は着替え終えた私を見て『完璧』って呟いて手を引いた。
北人「…Aせん、ぱ……」
教室の前で待つ彼の元へ強く背中を押されて駆け寄ると、驚いたように目を丸くして。少しすると口に手を当てて顔を逸らした
…やっぱり私似合ってないんだ
「ごめっ」
悲しくて恥ずかしくて、教室へ戻ろうとすると「待って」って手を掴まれて。
北人「…先輩可愛すぎです、何ですかそれ」
そんな事を言う彼とは未だに目が合わない。
「北人くん、」
だけど小さく名前を呼ぶと漸く目を合わせてくれて、そのままその場に跪く
北人「…俺と一緒に回ってくれませんか?お姫様」
手を差し出すヴァンパイアに戸惑いながらもそっと手を乗せた。
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はる - 一つ一つのお話の終わり方がうますぎます!!また、図々しく自分に置き換えて読ませていただいてますが、私は自分が甘えるとか想像できないのですが、この小説は主人公が甘えるシーンが自然で今まで読んだ中で1番自分に置き換えやすかったです!これからも応援してます (2019年7月19日 15時) (レス) id: 2402b45475 (このIDを非表示/違反報告)
茂結田(プロフ) - リエさん» 本当ですか…(°д°)嬉しいです!これからもリエさんが泣いてしまうようなお話作り頑張りますので、よろしくお願いします(^^) (2017年11月23日 16時) (レス) id: 9d38b03f33 (このIDを非表示/違反報告)
茂結田(プロフ) - あゆさん» ありがとうございます(T ^ T)移行後も更新は不定期になってしまうかと思いますが、色々なお話が描けるように頑張ります\(^^)/ (2017年11月23日 16時) (レス) id: 9d38b03f33 (このIDを非表示/違反報告)
茂結田(プロフ) - めいさん» 待って頂いて本当にありがとうございます(T ^ T)移行後もゆっくりになってしまうかと思いますが、少しずつ更新頑張ります。本当にありがとうございます! (2017年11月23日 16時) (レス) id: 9d38b03f33 (このIDを非表示/違反報告)
茂結田(プロフ) - エムさん» ありがとうございます(T ^ T)エムさんの気持ちにお答えできるように移行後も頑張らせて頂きますので、ぜひよろしくお願いします(^^) (2017年11月23日 16時) (レス) id: 9d38b03f33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茂結田 | 作成日時:2017年9月23日 19時