Peep into THE RAMPAGE２

91『恋人』× Kazuma.K ページ41

(壱馬side)

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壱馬「……A？」



何処にも居なかった。目覚めたベッドにもリビングにもキッチンにも洗面所にも。


テーブルの上には合鍵と
【今までありがとう、幸せでした。さよなら。】
とだけ書かれた紙切れが置いてあって、お揃いのマグカップも歯ブラシも…何一つ残されていなかった。





終わったんだ…ふつふつと湧いてくる別れたという事実。ふとテレビ台に目を向けると、昨日と変わらない写真立て。その中に映るのは笑顔の2人









……上手くいっていない自覚はあった。


仕事で帰りが遅くなる日々、「おかえり」と言ったAにちゃんと目を見て「ただいま」と返せていたかと聞かれれば、自信は無い。



テーブルの上に並べられた皿にはいつもラップがかかっていて。それに気付きながらも見ない振りをして真っ先に風呂へ向かった後、Aはどんな思いで片付けていたんだろう。




会話が少なくなる日々、すれ違う日々



分かっていたのに…全部




そんな毎日と、全て一人で背負っていたAから目を逸らし続けていた俺が悪い。





窓の外には葉が色づいて赤く染まる木




……もう秋か




壱馬「……ごめんっ、」




力なくソファーに座り込めば、Aの香りがあるような気がしてふと隣を見るけど、もちろんいるはずもなくて。






俺が悪いのに…今だってこんなに、Aの温もりが残ってる



離さなければよかった
離したら駄目だった




……Aじゃなきゃ駄目だったんだ。





戻れるならば今すぐ戻りたい


もう一度、
















もう終わってしまった恋
忘れられるはずない、忘れたくない。





叶わない想いが
こんなにも胸でくすぶってる












だから俺はいつまで経っても
「さよなら」なんて言えないんだ。






壱馬「…っ、A」






I can't say goodbye .





✁ ✃ ✁ ✃ ✁ ✃ ✁ ✃


お気付きの方もいるかもしれませんが



100degreesのカップリング曲になっている
【Can't Say Goodbye】
を聴いて描きたくなりました笑


切ない歌詞がどストライクで響いて来たので


ふと浮かんだ壱馬で
初めて切ないお話にさせて頂きました。




歌詞にだいぶ沿わせたので、結末としては不時着ですが、温かい目で読んで頂けたら嬉しいです笑


まだ聴いたことがないという方は
是非聴いてみて下さいね

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