76『続』 ページ26
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「…そういえばさ!」
唐揚げを頬張りながら急に真ん中で口を開く
「龍も樹も浴衣似合ってるね」
龍「え?」
「急に大人っぽくなって…似合ってる。カッコいい」
恥ずかしげも無くそんなことを言うもんだから、反応に困りながらAの向こう側にいる樹に目線を送る。すると、俺の目線に気付いた樹がこっちを見て頬を緩めた。
樹「…Aも似合ってんじゃん」
「…え?ふふっ、どしたの笑」
珍しく褒めた樹を面白可笑しく笑うAの手にはビニール袋が下げられていて
そこに居るのは……2匹の金魚
龍「2匹…」
もしも今日、Aと2人きりになることがあったら、その時はもう思いを伝えよう。
我慢はきっと…限界がある
そう決心した時、不意に後ろから『樹!』と声が掛かって振り向けば、樹の友達の男女グルーブが手を振って近付いてきて。
樹「ちょ、何?」
『樹が居ないと盛り上がんねぇからさー、俺らと回ろうぜ』
そんな声と共に女の子が樹の腕に絡まりついて、迷惑そうに振り解こうとしている樹の背中を友達が無理矢理押し始める。
『2人ともすいませんね』
樹「まじふざけんなって…」
友達が頭を下げてそのまま連れ去って行った。
最後の最後、心配そうな顔をして振り向いた樹と目が合って胸が締め付けられた。
……きっとこれが、最初で最後のチャンス
龍「A、行こっか」
「あ、うん!」
立ち尽くすAの手を取って歩き出すと、どんっと大きな音を立てて空に花火が舞う。
そんな花火に背中を押されるようにして静かな神社まで来た所で、Aの手を離す。
「…花火、綺麗だね…」
隣で小さく呟いたAの声は、花火の音に掻き消されそうなのに、自分の心臓の音はこれでもかってくらい大きく聞こえて…
龍「あのさ、A」
「ん?」
当たって砕けろ
伝えて後悔するほうが…
龍「俺、Aのことが…」
花火と一緒に言っちゃえ
龍「Aの事が、好き」
ばんっ て一番大きく開いた花火
あぁ俺、ついに言えたんだ…
そっとAの顔を見てみると
「ん?」
って…え、もしかして聞こえてなかった?
違う意味でドキドキし出した心臓と
樹「っ、居た…」
龍「樹、」
息を切らして駆け寄ってきた樹
樹「俺、Aの事が…」
だめ、だめ
龍「好き」
樹「好きだ」
…お願い、こっち見て。
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はる - 一つ一つのお話の終わり方がうますぎます!!また、図々しく自分に置き換えて読ませていただいてますが、私は自分が甘えるとか想像できないのですが、この小説は主人公が甘えるシーンが自然で今まで読んだ中で1番自分に置き換えやすかったです!これからも応援してます (2019年7月19日 15時) (レス) id: 2402b45475 (このIDを非表示/違反報告)
茂結田(プロフ) - リエさん» 本当ですか…(°д°)嬉しいです!これからもリエさんが泣いてしまうようなお話作り頑張りますので、よろしくお願いします(^^) (2017年11月23日 16時) (レス) id: 9d38b03f33 (このIDを非表示/違反報告)
茂結田(プロフ) - あゆさん» ありがとうございます(T ^ T)移行後も更新は不定期になってしまうかと思いますが、色々なお話が描けるように頑張ります\(^^)/ (2017年11月23日 16時) (レス) id: 9d38b03f33 (このIDを非表示/違反報告)
茂結田(プロフ) - めいさん» 待って頂いて本当にありがとうございます(T ^ T)移行後もゆっくりになってしまうかと思いますが、少しずつ更新頑張ります。本当にありがとうございます! (2017年11月23日 16時) (レス) id: 9d38b03f33 (このIDを非表示/違反報告)
茂結田(プロフ) - エムさん» ありがとうございます(T ^ T)エムさんの気持ちにお答えできるように移行後も頑張らせて頂きますので、ぜひよろしくお願いします(^^) (2017年11月23日 16時) (レス) id: 9d38b03f33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茂結田 | 作成日時:2017年9月23日 19時