俺が好きになった人【吉野北人】

ｰ48ｰ ページ48

.



持田「……北人、なんか肌質変わった？」



北人「…え？笑」



持田「……別に元々悪いわけじゃないけど。先週は最高に化粧ノリ良かったし、顔色も今まで以上に明るかったから」



北人「……先、週」



持田「彼女でもできたのかと思ったけど。まぁ元に戻っても何の支障もないから平気よ笑」





ちょっと小馬鹿にしたように笑って、鏡越しに合っていた視線が逸れる。




……先週、肌質、

思い当たる節がありすぎるよ。




彼女ができた訳じゃないけど、好きな人と過ごして
好きな人が作ったご飯を食べて
好きな人と眠について目を覚ます


そんな幸せで健康的な生活送ってたから









今日、雑誌撮影に向けてのメイクは
残念ながらAちゃんじゃなくてもっちー

……やべ怒られそう笑





もっちーに髪をセットしてもらいながら
鏡に映るAちゃんを見ると、反対側の鏡の前に座る樹のメイクを担当してる。




……いいなぁ樹



彼女の人柄からか、あまり口を開かない樹も頬を緩ませて


…好きにならないでね、その人。





持田「…Aちゃんがよかった？」



北人「え、」



持田「ごめんねぇ持田で！」



北人「ちょ、ちょ、雑になってる」




眉間に皺寄せて
俺の顔に乱暴に筆を落とすもっちー

でもすぐに真剣な顔になって
北人はさ
って口を開いた





持田「…結婚のこと、知ってる？」



北人「……うん」



持田「……そっか、」





なんでいきなりそんなことを聞いたのかは分からないけど、何も知らない人が聞いたら ん？ って思う質問に頷いた俺を見て、微笑んだ。





持田「…よく、禁断の恋 とか 好きになっちゃいけない人 って言うじゃない？」



北人「うん」



持田「……実際そんなもの、ないんだよね」



北人「どういうこと？」



持田「したらいけない恋も、好きになったらいけない人もいない。恋愛はどんな人にだって平等に与えられてるの」





ゆっくり語るもっちーは、俺の顔に筆を落とす手を止めて後ろに立った。





持田「…間違うことはあるかもしれないけど、それに気付かないくらい溺れちゃえばいい」




私は北人の気持ちが間違いだとは思わないよ





後ろから肩に手を置いてそう笑った




鏡越しでもっちーを見てるのに合わない視線
彼女はたぶん今、Aちゃんを見てる





……あー、俺周りにこんなにバレてんだ




だけど断然大人なもっちーの言葉に
ものすごく心が救われたような気がした。

ｰ49ｰ→←ｰ47ｰ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す