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「お風呂湧くまでくつろいでて」
北人「…ありがとう」
リビングに入って渡されたタオルで体を拭いていると、湯気が出るマグカップを2つテーブルに置いて
俺の前にしゃがみ込んだ。
そのままじっと見詰められて
北人「ん?」
首を傾げると、少し間を開けて俺の隣に座り直した
「…なんであんな所に居たの?」
マグカップを両手で持って、縁に唇をつけて冷ましながらそんなことを聞いてきた。
北人「Aちゃんに会いたくて」
「…私の家知ってるっけ?」
北人「知らない」
「知らないのに会おうとしてたの?」
北人「連絡つかないんだもん」
少しだけムキになってそう言うと、ふふっと小さく笑って「変なの笑」って呟いてからココアを飲んだ
不器用に ずずっ て飲んで あちっ て舌を出すそんな姿に、心の内側から何かが滲み出るような感覚になる
北人「Aちゃ、」
「…あ、お風呂湧いたから入ってきて」
Aちゃんに手を伸ばしたところで、お風呂が湧いた合図の音楽が鳴るとゆっくり立ち上がって
「着替え…タケルくんのでもいい?」
申し訳なさそうに笑った。
北人「……お風呂ありがと」
「はーい。あ、サイズ丁度良かったね」
お風呂から上がると、おろしていた髪を一つに束ねあげてキッチンから出てきたAちゃんが、俺の姿を見て頬を緩ませた
……さっきまで見えなかった、彼女の首元の痣
あの日からAちゃんが仕事に来なくなった理由を表すような痛々しいその痣にそっと触れる
「……あ、痣忘れてた」
北人「大丈夫?」
「うん、」
北人「仕事に来れなかったのって…」
「うん……だけどもう平気だから」
俯くAちゃんの首をそっと撫でて
北人「苦しかったら頼ってって言ったよね」
念を押すようにそう言うと、ゆっくり顔を上げたAちゃんは目に涙を溜めて 下手くそな笑顔を浮かべた
「…北人くんにそう言われた日から、私弱くなっちゃった」
手をぎゅっと握って唇を震わせながら笑顔を浮かべ続ける
「苦しいって簡単に思っちゃって……北人くんに、会いたくなるの」
北人「Aちゃん」
溢れる涙が頬を伝った彼女を、居てもたってもいられずに強く抱き締めて
北人「会いたいって思ってよ」
もう止まらない
「北人くっ、」
北人「……俺、Aちゃんが好きだよ」
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# 岩萌(プロフ) - 茂結田さん» 更新通知来た瞬間読みます笑
たまたまそれが流れたんですけどね。切なかった…笑 (2017年10月10日 20時) (携帯から) (レス) id: 32fbb0b927 (このIDを非表示/違反報告)
茂結田(プロフ) - # 岩萌さん» ありがとうございます(T ^ T)ついに、です笑 これからの展開にも是非注目していただきたいです!言われてみれば、人魚姫の物語と似てますね…笑 (2017年10月10日 20時) (レス) id: 9d38b03f33 (このIDを非表示/違反報告)
茂結田(プロフ) - びすさん» ありがとうございます!!これからも切なさを追求していくつもりです笑 北人の性格と雰囲気をしっかり届けられるようにこれからも更新頑張ります!本当にありがとうございます(^^) (2017年10月10日 20時) (レス) id: 9d38b03f33 (このIDを非表示/違反報告)
茂結田(プロフ) - 青葉さん» ありがとうございます!北人の健気さと、この話の切なさを伝えられるようにこれからも更新頑張ります!(^^) (2017年10月10日 20時) (レス) id: 9d38b03f33 (このIDを非表示/違反報告)
# 岩萌(プロフ) - 茂結田さん» いやいや全然待ちますよ!今回もやばかったです、ついにって感じですね!ニヤけが止まらない(//∇//)
人魚姫聴きながら読むと涙出そうになる…笑 (2017年10月9日 10時) (携帯から) (レス) id: 32fbb0b927 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茂結田 | 作成日時:2017年8月30日 20時