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陸「……それで?どういうことなの?」
"場所変えません?" 俺の提案で近くの居酒屋に3人で入った。個室の席に案内してもらってとりあえずお酒を注文し終えた陸さんが口を開く。
北人「…俺も、昨日知ったんです。結婚のこと」
陸「指輪、してないよね?」
北人「仕事をする時に手に余計な物をつけたくなくて外してるらしいです」
陸「そっか…」
"あ〜全然気付かなかった!" 笑いながらお酒を一気飲みする陸さんの隣で、ずっと黙っていた壱馬が顔を上げた。
壱馬「…俺、Aちゃんが入ってきたその日に知ったんやわ」
北人「え?」
壱馬「その日ちょうど、残って練習しててん……結構遅くまで。帰ろうとしたら楽屋に電気付いてて、覗いてみたら、」
重たそうに口を開いた壱馬は途中で言葉に詰まり、俺を見た。
壱馬「Aちゃんが、左手の薬指に指輪つけてるとこ…見た、」
北人「…」
陸「そっか、」
壱馬「本人にも確認出来んくて、メンバーも絶対知らんやろうし…誰かに話していいもんでもないし」
陸「じゃあ知ってるのは俺達だけってこと?」
壱馬「たぶんもっちーも知ってると思います」
それから、部屋が静まって皆が俯いた。
きっとそれぞれがショックだったり驚きだったりいろんな感情があって
なんて言葉を出したらいいか分からないんだ。
……本人から告げられた俺もだいぶ驚いたけど
1人で見ちゃった壱馬も大変だっただろうな。
そんなことを思いながら目の前に座る壱馬を見詰めていると、俺の視線に気付いたのか、壱馬が顔を上げて…
北人「?」
目が合ったと思ったら、逸らされた。
壱馬「……北人、やめとけ」
北人「え、」
冷たく、重たく出た壱馬の言葉が胸に突き刺さる。
壱馬「Aちゃんは結婚してんのやぞ」
北人「かず、ま」
陸「…ちょ、待って」
見詰められる というよりも、睨まれると言うべきだろうか。壱馬の目はいつに無く冷たい。
そんな壱馬の言葉に、何かを察した陸さんが、俺に視線を向けた。
陸「……俺、Aちゃんのこと凄く好きだけど…北人の気持ちって、」
北人「…」
壱馬「好きなんやろ、北人」
陸さんが言うのを躊躇った言葉を、壱馬は迷いなく告げた。
目を見開いて驚いた陸さんが「北人…」と、何も言わない俺を心配そうに見てきて
……隠せない
北人「…うん、好き」
ぴしっと空気が張り詰めた気がした。
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# 岩萌(プロフ) - 茂結田さん» 更新通知来た瞬間読みます笑
たまたまそれが流れたんですけどね。切なかった…笑 (2017年10月10日 20時) (携帯から) (レス) id: 32fbb0b927 (このIDを非表示/違反報告)
茂結田(プロフ) - # 岩萌さん» ありがとうございます(T ^ T)ついに、です笑 これからの展開にも是非注目していただきたいです!言われてみれば、人魚姫の物語と似てますね…笑 (2017年10月10日 20時) (レス) id: 9d38b03f33 (このIDを非表示/違反報告)
茂結田(プロフ) - びすさん» ありがとうございます!!これからも切なさを追求していくつもりです笑 北人の性格と雰囲気をしっかり届けられるようにこれからも更新頑張ります!本当にありがとうございます(^^) (2017年10月10日 20時) (レス) id: 9d38b03f33 (このIDを非表示/違反報告)
茂結田(プロフ) - 青葉さん» ありがとうございます!北人の健気さと、この話の切なさを伝えられるようにこれからも更新頑張ります!(^^) (2017年10月10日 20時) (レス) id: 9d38b03f33 (このIDを非表示/違反報告)
# 岩萌(プロフ) - 茂結田さん» いやいや全然待ちますよ!今回もやばかったです、ついにって感じですね!ニヤけが止まらない(//∇//)
人魚姫聴きながら読むと涙出そうになる…笑 (2017年10月9日 10時) (携帯から) (レス) id: 32fbb0b927 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茂結田 | 作成日時:2017年8月30日 20時