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幸せが五滴 ページ5

「列車って久し振りに乗りますね…」



「とにかくまずは席につこう!

 普通の乗客に紛れ込まねばならんからな!!」





列車の中は思ったより広く、

また既に乗車している人の数も多い。



煉獄が座ると、その向かいにAも座った。





「お客様、お弁当はいかがですか?」





列車が出発する十数分前、

女性が弁当の乗った荷台を押してふたりの傍にやって来た。



荷台には牛丼弁当や焼き魚弁当など、

豊富な種類の食事が、山のように揃えられていた。





「あ、私は大丈夫で」



「うむ!頂こう!!」



「……師範、お腹大丈夫です?」



「腹が減っては戦が出来ん!二十個ほど頂くとしよう!」



「に、二十個ですね。かしこまりました」



「あ、お、お姉さん無理なさらなくても……」





煉獄の無理な注文にも、

女性はひとつひとつ弁当を差し出していく。



律儀だ……申し訳なくて涙が出てくる。





「ふぅ…それでは、ごゆっくり」





山積みになった弁当の数が二十個ぴったりである事を確認し、

女性は一礼して次の客の元へ向かった。





「師範!お姉さん困らせたじゃないですか!!」



「しかし沢山貰ったな!」



「師範が二十個とか言い出すからじゃないですか!

 本当に二十個ありますよ!食べきれます!?」



「うむ!Aも手伝ってくれるだろう!」



「自分で食べ切れる量だけ注文して下さい〜!!」





結局、弁当を消費するのに付き合わされた。


煉獄ほど食欲の無いAは、

二十個のうち六つのみ食べる事になった。





「ゔぇ……き、気持ち悪い……

 食べてる間に出発したから尚更しんどい……」





吐き気と戦うAに対し、

煉獄はというと……





「……美味い!……美味い!!……美味い!!!」





ご覧の通りの通常運転、羨ましい。



Aは席を立ち、
見回りの為に先頭車両の方へ向かった。



煉獄は他の隊士と合流すると言って、

気を付けて行って来るように、とAを見送った。





「……ん?接触が悪いのかな…

 さっきからずっと電気がついたり消えたりしてる」





屋根の電球が点灯と消灯を繰り返している事を気にしつつも、

Aは先頭車両へと少しずつ足を進めて行った。



見回り中にこれと言った異変は特に無く、

先頭車両まで、ひと通りを見て回った。



夜だからか、乗客はみな静かに眠っているだけだった。

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きのこ - 映画見た後で目かパンパンになった時に読ませて頂いたのですが.....何この神作品。涙腺崩壊しました((( (2020年11月22日 21時) (レス) id: 2a559184c7 (このIDを非表示/違反報告)
すぱ - 煉獄さんロスで徐に検索してこの作品を見つけたのですが、この作品を一番初めに読めて良かったです。ありがとうございました。 (2020年10月26日 3時) (レス) id: 3be3f0c040 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)太中大好き人間(プロフ) - 今日見始めたのですが、夢中ですぐに全て読んでしまいました!煉獄さんは何処までも愛する人の幸せを祈っているという事に涙しました。ifストーリーの方も、また会えて、幸せになれて、本当に良かったです。貴方の作品にとても胸を打たれ、また見たいと思いました。 (2020年10月25日 4時) (レス) id: 5bc9e3e078 (このIDを非表示/違反報告)
らんたん(プロフ) - とっても素敵な作品を有難うございます…。煉獄さんのifストーリーは胸にくるものがあります。語彙力がなくてまとめられないんですが、改めて素敵な作品を有難うございました。ほっこり幸せな気持ちになれました。 (2020年10月25日 0時) (レス) id: 1e7e266fc1 (このIDを非表示/違反報告)
美紅(プロフ) - 杏寿郎さんとの幸せです!本当良かったょょょょょょおおおお(泣く) (2020年10月24日 15時) (レス) id: 5e245d9090 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春蘭 | 作成日時:2020年10月23日 17時

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