幸せを、紡ぐ 幕 ページ17
「失礼する！」
「杏寿郎さん、ここ病院……！」
「よもや！それは申し訳ない！！」
「だから……！」
ある病院の一室。
その部屋の入口には、
『煉獄A』との名札が掛けられていた。
「新しい花を買ってきたぞ！
花瓶の水も、新しいものに入れ替えておこう！」
「そのくらいなら私が……」
「いいや俺がやる！
体は労わるものだ、妊婦は特にな！！」
「……分かったので、少しお静かに」
静かに微笑んで、窓の外を眺めていたA。
その横顔を、煉獄もまた静かに見つめていた。
「……美しいな」
「え、何です？」
「Aは歳を重ねるごとに、
どんどん美しくなっていくな、と言ったんだ」
「……お世辞ですか？」
「まさか。俺は本当の事しか言っていないぞ！
いまAの顔を見ていても思ったんだ、
きっと君は、俺の母上のように立派な母になるだろう！」
「……お義母様のように、なれるでしょうか」
大きくなったお腹を撫でながら、
Aは少し困ったような笑みを浮かべた。
「いいえ、なれますとも。
それは今まであなた達を見てきた私が保証します」
「！お義母様」
「母上！いらしていたのですね！！」
扉をガラリと開けて部屋に入って来たのは、
杏寿郎の家族…瑠火と千寿郎、槇寿郎の3人。
煉獄家の面々が、
出産間近のAを見舞いにやって来たのだった。
「A、よくお聞きなさい」
「はい、お義母様」
「貴女は煉獄家次期当主の妻です。
今までも立派に責務は果たしてくれていましたが、
これからは子育てという苦労も増えるでしょう。
どんなに大変でも、子を慈しみなさい。
心からの、深い愛情を沢山注いであげなさい。
貴女と杏寿郎なら、きっと出来る。
母は信じています」
「……はいっ！大切に、育てていきます…！」
「Aも子どもも、俺が必ず守ってみせる！
幸せな家族を作ると約束しよう！」
「それでこそ、私の子ども達です。頑張って」
瑠火からの激励を受け、
Aと煉獄は、ぎゅっと固くその手を握った。
あの日、腕の中で気高く散った愛しい人と、
こうして再び出会い、幸福を手に入れた。
未来永劫、命が尽きるまで。
どうかこのふたりが
愛しき人と寄り添い続け、
その幸せを謳歌してくれますように。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 424人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きのこ - 映画見た後で目かパンパンになった時に読ませて頂いたのですが.....何この神作品。涙腺崩壊しました((( (2020年11月22日 21時) (
レス) id: 2a559184c7 (このIDを非表示/違反報告)
すぱ - 煉獄さんロスで徐に検索してこの作品を見つけたのですが、この作品を一番初めに読めて良かったです。ありがとうございました。 (2020年10月26日 3時) (レス) id: 3be3f0c040 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)太中大好き人間(プロフ) - 今日見始めたのですが、夢中ですぐに全て読んでしまいました！煉獄さんは何処までも愛する人の幸せを祈っているという事に涙しました。ifストーリーの方も、また会えて、幸せになれて、本当に良かったです。貴方の作品にとても胸を打たれ、また見たいと思いました。 (2020年10月25日 4時) (レス) id: 5bc9e3e078 (このIDを非表示/違反報告)
らんたん(プロフ) - とっても素敵な作品を有難うございます…。煉獄さんのifストーリーは胸にくるものがあります。語彙力がなくてまとめられないんですが、改めて素敵な作品を有難うございました。ほっこり幸せな気持ちになれました。 (2020年10月25日 0時) (レス) id: 1e7e266fc1 (このIDを非表示/違反報告)
美紅(プロフ) - 杏寿郎さんとの幸せです！本当良かったょょょょょょおおおお（泣く） (2020年10月24日 15時) (レス) id: 5e245d9090 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春蘭 | 作成日時：2020年10月23日 17時
