幸せを、紡ぐ 序 ページ16
「あっ、Aおはよう!」
「あら、おはよう。
あなたも鬼滅学園に入学することにしたのね」
「なんか口コミでめっちゃイケメンの先生いるって!
書いてあったから!それを目的に来た!!」
「はは。小さい頃からそういう子よね、あなたは」
やわらかくて暖かな風が吹く春。
今日入学式を迎える浅神Aは、
幼馴染の少女と共に新たな学び舎へと向かっていた。
ふたりが入学する『鬼滅学園』は中高一貫校で、
個性溢れる人材が集まる学校として、評判も高い。
「えーっと、会場は……こっちみたい」
「A、早く行こ!イケメン探さなきゃ!」
「う〜ん、いや、別にいいけど、
勉強しに来てるって本来の目的忘れないでね?」
「わぁ〜かってるって!」
そうは言いつつ、
「おっ!イケメンはっけーん☆突撃〜!」
と、特攻隊のように幼馴染はどこかへ行ってしまった。
仕方なくAはひとり、会場を目指したのだが……
「…………あ、あれ?ここ会場じゃない…」
入り口で地図を貰わなかったせいで、
講堂への道が分からなくなってしまった……
「えぇと……ここは、中庭かな……?
もうすぐ式が始まっちゃう…講堂は、えっと……」
わたわたと慌てて出口を探すと、
背後からよく通る、大きな声が聞こえてきた。
「む!君!そこは今は立ち入り禁止だぞ!
新入生か!道に迷ったのか!なら案内しよう!」
「……っ」
私は、知っている。
あの燃え盛る炎のような黄金の髪を。
太陽が照らすような、明るいあの声を。
………………かつて、私を愛しげに見つめてくれた、
その黄金の真ん丸の硝子玉のような瞳を。
「……きょ、じゅろ…さん……?」
「うむ!また逢えたな、A!
いつぶりだ!大正からだから…80年は経つか!」
「なん、で……ここに…?」
「なんでも何も、俺はここの教員だ!
君達を教える、先生として働いているからな!」
こんな所でまた、巡り逢えるとは思わなかった。
今ならみんな、
講堂で入学式の開始を待っているだろうから、
少しくらい、許されるだろう。
Aはおもわず煉獄に駆け寄り、
その広い胸にぎゅっと抱き着いて、涙を流した。
「杏寿郎さん!杏寿郎さん……!!
ずっと、ずっとお逢いしたかったです……!」
「……うむ、それは俺も同じだ。
今世こそ、俺は君の隣に居ると約束しよう」
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きのこ - 映画見た後で目かパンパンになった時に読ませて頂いたのですが.....何この神作品。涙腺崩壊しました((( (2020年11月22日 21時) (レス) id: 2a559184c7 (このIDを非表示/違反報告)
すぱ - 煉獄さんロスで徐に検索してこの作品を見つけたのですが、この作品を一番初めに読めて良かったです。ありがとうございました。 (2020年10月26日 3時) (レス) id: 3be3f0c040 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)太中大好き人間(プロフ) - 今日見始めたのですが、夢中ですぐに全て読んでしまいました!煉獄さんは何処までも愛する人の幸せを祈っているという事に涙しました。ifストーリーの方も、また会えて、幸せになれて、本当に良かったです。貴方の作品にとても胸を打たれ、また見たいと思いました。 (2020年10月25日 4時) (レス) id: 5bc9e3e078 (このIDを非表示/違反報告)
らんたん(プロフ) - とっても素敵な作品を有難うございます…。煉獄さんのifストーリーは胸にくるものがあります。語彙力がなくてまとめられないんですが、改めて素敵な作品を有難うございました。ほっこり幸せな気持ちになれました。 (2020年10月25日 0時) (レス) id: 1e7e266fc1 (このIDを非表示/違反報告)
美紅(プロフ) - 杏寿郎さんとの幸せです!本当良かったょょょょょょおおおお(泣く) (2020年10月24日 15時) (レス) id: 5e245d9090 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春蘭 | 作成日時:2020年10月23日 17時