『真紅』 (ページ7)

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2.嫉妬__Sanji ページ7

彼は紳士だ。

ナミやロビンは身近な存在だから雑にあしらって全然そういう対象として彼を見ることはない。

その上、彼の行動は少しダイナミックというか、オーバーリアクションな所があって引かれてしまうこともあるため誤解されがちだが…

さり気ない仕草、女性に対してどこまでも優しい彼を見てしまえば惹かれない女性はいないと思う。

私も彼と初めて出会った時は少し引いてしまっていたけど、彼の本当の姿を知ってしまった時から彼の虜になってしまった。

今では彼。サンジくんの恋人として傍に居られるようになったけど、この立場を勝ち取るには結構苦労したものだ。

…それは今もだけど。

キッチンのテーブルに肘をつき、料理中の彼の背中をぼーっと眺める。
果物の甘い香りが立ち込めるキッチンの中で、私とサンジくんの二人きりの時間。

今サンジくんが作っているのは私とナミとロビンのためだという15時のおやつ、アップルパイだ。

ちなみにリクエストしたのは私。

私に料理の才能があれば手伝いを申出るところなのだが、残念ながら私が作る料理は全てダークマターと化すため見ている事しか許されていない。

「よし、お待たせAちゃん」

優しく微笑みながらこちらを振り返ったサンジくんの手には出来たてのアップルパイと紅茶。

「わぁ…おいしそう」

「どうぞ、召し上がれ」

目の前に置かれたアップルパイに思わず頬が緩む。
さっそく一口食べてみればさくりといい音が響いて直ぐに口の中に広がる林檎の甘酸っぱさ。

鼻に抜けるシナモンの優しい香り。

合わせてでてきた紅茶とも相性が良くてぺろりと完食してしまえそう。

サンジくんはそんな私の表情を見て満足げに微笑んだ後、そっと私の額にキスを落とす。

「俺はこれをナミさんとロビンちゃんに渡してくるから、Aちゃんはゆっくり食べてて」

そう言ってアップルパイと紅茶の乗った盆を片手にサンジくんはキッチンを出ていってしまった。

こう、さり気ないキスとか優しい笑顔とかすごくすごく好きなんだけど、好きなんだけど…！

「彼女的には複雑なのよ…」

恐らく、今頃サンジくんは2人にメロリンメロリンハートなんか飛ばしながらアップルパイと紅茶を届けていることだろう。

2人のことは私も大好きだし、2人は私の恋を応援してくれたから信頼もしてる。けど、

付き合い始めて早数ヶ月、やっぱりサンジくんがほかの女の子に優しくしてるのはなんだか気に入らない。