『真紅』 (ページ11)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:3,605 hit

・ページ11

「良かった、ここに居たんだねAちゃん」

ふわっと笑ってこちらへ歩み寄ろうとするサンジくんは私の頭に乗せられたままのゾロの手を見てぴしりと固まる。

すぐに、不機嫌そうな顔をするとゾロに向かって手を離せだの俺のAちゃんに触るなだと怒り始める。

なにが、俺のよ。
ロビンと楽しくやってればいいじゃない。

そんな黒い感情が心を支配して、咄嗟にゾロの腕に抱きついた。

「えっ、Aちゃん…？なんでそいつに」

「サンジくんとは今一緒にいたくない。ゾロといる」

「お前なぁ…」

むすっと頬を膨らませてふいっとサンジくんから顔を逸らすとゾロが物凄く面倒くさそうな顔をしているのが見えた。

そんな事はお構い無しに腕の力を強めてぎゅうっと抱きつくと、サンジくんにむけて「出てって」と言い放つ。

サンジくんは女の子に甘いし、何よりロビンが待ってるはず。
私のお願い聞いてくれなかったことなんてないんだから、出て言ってくれるでしょ。

そんな心にも思ってないことを考えて、でもサンジくんの方を見るのは怖くて視線を逸らしたまま。

「出てって」

念を押すように少し力強く言うと、しばらく沈黙が続いた。
あまりにも静かになったので、出て行ったのかなと顔を上げようとした瞬間。

物凄い力でゾロから引き剥がされた。

引き剥がした力とは対照的に柔らかく、優しく、まるで硝子を扱うように抱き上げられたかと思うと。
視界には呆れた様子でこちらを見るゾロと、真上にあんまり…いや、初めて見る私に対して怒ったサンジくんの顔。

驚きすぎて固まる私を抱いたままサンジくんはゾロに一言二言声をかけてからトレーニングルーム出る。

あんまりの衝撃で何を言っていたのか聞き取れなかったけど、多分ゾロには怒ってないんだろうなぁ。

呑気な事を考えながら大人しく連れられて向かった先はあんまり入ったことの無い男部屋で。

あれ、キッチンには行かないの？ロビンは？なんて困惑する私をサンジくんは自分のベッドに寝かせて部屋の鍵を閉めた。