『真紅』 (ページ1)

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1.誘惑__Luffy ページ1

「ルフィってせいよくとかあると思う？」

「…何よ急に」

私の唐突な問いかけに、一瞬の間をおいてこちらを振り返ったナミの表情は、頭でも打ったのかとでも言わんばかりのものだった。

書き物をしているため長い髪は高い位置で一つに縛ってある。
ちらちらと見えるうなじや、ルームウェアの短いショートパンツから覗くすらっとした長い脚には女の私ですらドキッとする。

「Aがそんなことを言うなんて珍しいわね」

くすりと笑みをこぼしながら、読んでいた小説を閉じて私の寝転がるベッドの上に腰かけたロビンも、大人の女性特有の色気を醸し出していて。

ふと自分の胸を見下ろし、そっと天を仰ぐ。
胸には夢が詰まってるんやで、わしのこのちっぱいにも夢はあるさ。

そんな慰めを脳内で勝手に繰り広げる私に、二人はなぜこんなことを言い出したのかと理由を尋ねてくる。

なぜ私が唐突にこんなことを言い出したのか。

それは、まず前提としてルフィと私が付き合いだしてからもう半年がたとうとしているというとことを理解していただきたい。

恋人同士であるのだから手を繋いだり、抱き合ったり、たまに唇が触れるだけのキスをすることはもちろんある。
甘い空気になることもよくある。

だけど、それ以上のことをしたことがないのだ。

船の上に一緒に生活しているし、もう子供ではない年齢にもなった。
健全な男女としてやることやっていたっておかしくないはず。

だが、相手はルフィだ。

純粋無垢、そんな言葉が似合うような彼は一度だってそんなそぶりを見せることはない。

「あのね、私は不安なんだよ。ルフィにはそういうのって存在しないのかもって。健全な男の子として狼な部分はないのかって」

「あんた深夜のテンション入りまくってるわね、頭のねじ何処に忘れてきたのよ」

ナミの辛辣な言葉には苦笑いを返しつつも、私は本気で悩んでいるので相談することはやめない。

長い長い経緯の説明を終えて、どうしようと再び聞き返すと若干疲れきったような様子のナミと楽しそうな様子のロビンが口をそろえて言った。

「誘惑しちゃえば？」

「それだ」

純粋で無邪気な彼の裏の顔を引きずり出すような飛び切りの誘惑。
早速明日から実行するべく深夜の女部屋で秘密の作戦会議は始まっていた。