＊*背の高い彼*＊ ページ3
「わぉ、ここがニューヨーク………」
「なんて言うか…すごいね…」
大きな建物に沢山の人。
初めて見るものに2人は立ちすくんだまま、行き交う人々を眺めていた。
「ねぇニュート、これが日常なのかな？」
「だとしたら皆忙しいんだね」
なんて呑気な事を話ながら目的の場所に向かって人混みをかき分けながら歩いて行く。
「あ、ちょっ、ニュート待って…！」
彼女は背が低いし小柄だ。
こんな人混みじゃ簡単に紛れてしまう。
「裕里？あれっ？さっきまで居たのに…」
彼女の声に振り向いた彼は必死に彼女を探そうとするが中々見つからない。
「…っ！これじゃ見失っちゃう……あ！」
と、目線を上に上げて辺りを見渡すと回りの人よりも一つ分頭が出た見覚えのある色のコートを見付けた。
ガシッ
「…ニュート…！！見付けた…！」
はぁ、と息を切らし彼のコートの裾を掴んだ。
「わっ！！…！裕里！！何処に行ってたんだい？君は小さいから見つからなくて焦ったよ…。」
小さい、と言う単語に敏感な彼女は彼の手をガシッと掴んだ。
「…………何？何ですって？今何か言った？」
ギリギリと繋いだ手を握りながら笑顔で彼に言う。
「うっ…ご、ごめんって…そんなに怒らないでよ…。」
「もう！私が気にしてるの知ってるでしょ！さぁ！とっとと行くわよ！！」
「わっ！！」
彼女は強引に彼を引っ張っていく。が、不意に彼が言った。
「ふふっ、でもその小ささが僕にとってはとても可愛いんだけどな。」
そう彼は彼女の耳元で囁く。
「……！」
彼女がカッと顔を赤くした。
「ん、ちょっとこっち来て？」
今度は彼が笑顔で建物の路地裏に入っていく。
「えっ！？な、何！？」
彼に引っ張られて連れてこられた薄暗い路地裏。
人混みから離れたそこは、さっき居たところとは違うところにいるような感覚を覚えた。
私達しか居ない、そんなような。
「裕里が可愛すぎてもう無理だよ。」
そう言うと彼女の返事を聞かぬまま早急にその唇を奪っていった。
「んん…！？ちょっ………んっ…っ……！！」
「ん…、ふふっ、可愛い…。」
さっきまでの顔とは違う、人懐っこい笑を浮べながらまた彼女の手を引いて再び人混みの中へ。
「今度は見失わないようにちゃんと手を繋いでおこうか。ね？」
笑顔で言う彼とは反対に、顔を赤くした彼女は
「…っもう！ニュートのバカー！」
なんて言いながらも彼の手を握り返すのであった。
……fin
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うさ - 応援しています(*´▽`*) (2016年12月9日 18時) (
レス) id: b29755884d (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - チョコラさん» 評価ありがとうございます♪ ´ω` ) (2016年12月8日 2時) (レス) id: 4051c8171b (このIDを非表示/違反報告)
チョコラ - 短編最高(*´ー｀*)お星様ﾎﾟﾁｯと押させていただきます！ (2016年12月7日 20時) (レス) id: d9a05f340b (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 黒丸ゆり子さん» コメントありがとうございます！頑張ります ´ω` ) (2016年12月7日 11時) (レス) id: b07ea3ef88 (このIDを非表示/違反報告)
黒丸ゆり子 - これからも頑張ってください！！面白かったです！ (2016年12月6日 21時) (レス) id: 3ae194ab3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アネモネ | 作成日時：2016年12月6日 2時
