偶然には愛を (ページ18)

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｢そういえば来週夏祭りだよね
誰かと行く約束とかしてる？｣

『と、特には!』

｢反応いいね笑｣

今までどう接してたっけ!

意識し過ぎて分からない...

『そ、その話なんですけど
ちょっといいですか？』

｢なに、改まって｣

頭を傾げる小笠原

すぅ、と息を吸う

いけ、私

『…よければ私と一緒に行きませんか!?』

｢…｣

あ、やってしまった

本棚を整理していた小笠原の手がピタッと止まる

横顔綺麗だなぁ

…じゃなくて

『…先生』

｢ん？｣

『やっぱり、聞かなかった事にして下さい』

自分勝手で自業自得なのは分かってるけど、少し悲しくなった

間を置くぐらいならはっきり断られる方がマシだと思って、私は私の勇気を取り消してしまった

麦茶を一気に飲み干して、椅子の横のカバンに手を伸ばした

｢いいよ｣

『へ？』

｢夏祭り、一緒に行こっか
2人で｣

へ？

私が？小笠原と2人で？夏祭り？

『先生、ほんとですか』

｢うん、嫌？｣

『嫌なんかじゃないです！』

｢ん笑じゃ、そういう事で｣

こうしてあっさり決まってしまった約束

え、こんなに即決でいいの？いやどうなの

そこからどうしたのか記憶がない

こーちゃんにこの事を話したら、電話越しでえっ！と言った後にガチャーンと何かが落ちて割れる音がしたのは覚えてる

わざわざ取り消した事を小笠原の方から戻してくるなんて、あの人

私の事どう思ってるんだろう

*
海side

最近の女子高生って勢いがすごいのかな

急に何を言い出すのかと思えば、また急に取り消すし

いや取り消させないけど

『嫌なんかじゃないです!』

そう言った彼女の必死さになんかテンション上がっちゃうし

俺は素直に嬉しかった

淡々と約束を取り決めたつもりだけど、表情とか態度に出てなかったかな

｢…ふっ｣

彼女が国研を出ていった後、緊張の糸が解れるように自然と笑みが零れる

あんなに一生懸命になって夏祭りに誘うだなんて、あの子

俺の事どう思ってるんだろう

そんな疑問を抱きつつ、やっぱり気分と顔が綻んじゃう俺なのでした

*